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2005年9月28日

デカルトの密室

瀬名秀明
新潮社: 1900円
お勧め指数: □□■■■ (2)

 「意識」という側面からAIに迫ってみようとしたSF。といっても、ちょっとなぁ、という感じでした。パラサイトイブを読んだことがないので、この著者作品としてのデキとしてどのあたりにあるのはよく分かりませんが、うーむという感じでした。

 あたかも意識を持つかのようなロボットが登場します。しかし、いきなり「クオリア」をもっちゃってて、ロボットのイメージが「パルタ」っぽいので困りました。天外司郎も変な登場の仕方です。それに、キャラがちゃんとたっていないので、地の文を読んでいても、だれが考えているところなのか、よくわからないことが多かったです。

 私がこの手の小説を読み慣れていないから評価を低くしているのかもしれない。気になる人はどうぞ。私は養老孟司さんや茂木健一郎さんの本を読んだほうがいいと思います。

2005年9月24日

心と脳の正体に迫る

瀬名秀明・天外伺郎
PHP研究所: 1500円
お勧め指数: □□□■■ (3)

 脳について、心について、意識について著者たちが語り合う対談集。天外さんの考える意識、また、その外の世界についての話しを瀬名さんが理解し、それに応答するやり取り。

 両者はともに博士号をもっている。評論家ではなく、サイエンスとエンジニア分野で研究を行い、実績を残した人たちである。彼らの発想は、普通の私たちには素直に聞けないような、理解できないような話しに達する。しかし、そのバックボーンは科学や技術を信頼できるレベルは保たれている。観念やイデオロギーを語っているのではないので、ある意味安心して読める。

 集合的意識やトランスパーソナル心理学をまともに扱っていくのは難しいだろうし、出版するのは難しいだろう。ただ、AIの研究の先にはこの分野の理解が一つの鍵になると私は思っている。

 人類の黎明期を想像するのが好きは私には、楽しめる本でした。

自分の人生に出会うための言葉

マーク・フォスティター
草思社: 1600円
お勧め指数: □□□■■ (3)

 マルクス・アウレリウスの「自省録」から言葉を紹介した「マルクス・アウレリウス帝の入門書」といった作品。秋の夜長、虫の音を聞きながら、人生について思索してみるときの手引書のようなものだと思えば良い。

 ローマ全盛期の5賢帝の最後の一人であるマルクス・アウレリウス。1900年前の人間ならば、現代社会に生きる私(たち?)の悩みと個人のレベルでいえば同じものを持っていたことがよくわかる。

”星々と一緒になって、回り続けるあの星を眺めてみなさい。そして、次から次へとつねに変わり続ける、もろもろの移ろいを考えてみよう。  そんなふうに考えてみるなら、この地上に起こる人生の塵ごとき瑣末なことなど、水に流せるであろう。”

”人間の行動は、内なる要求に従うだけである。もし君がこの内なる要求を拒むとしたら、それは、イチジクの木にその果汁を出すな、と命じているようなものである。
 だが、次のことを、心に留めておいてほしい。君も、君の知っているどの人も、いずれはこの世を去っていくのだということ。
 そしてやがて、君の名前すら、思い出されなくなくということを。”

 こういう一文を読むと、こころが2000年をジャンプできます。蛮族との争いの中、野営地にてマルクスがこう思索している姿が思い浮かびます。マルクス・アウレリウスは自分を含めた世界を客観視できる「哲学者」たる人ですね。私は弟子入りしたいです。こんな人間も成立しうるのだと肌で感じてみたい。2000年という時間は、人間そのもののあり方を変えるには短いようです。今でも、こんな人はほとんどいない。こんな人が、ローマ皇帝だったという事実。今のアメリカ大統領と比べると「やっぱりローマはすごい」という気分になります。

 塩野七生さんのローマ人シリーズにおいて、この人にたどり着くには10冊以上読破しないといけないので、とりあえずマルクス・アウレリウスについて知りたいという人にはお勧めです。

2005年9月18日

マンガをもっと読みなさい

養老孟司・牧野圭一
晃洋書房: 1500円
お勧め指数: □□□□■ (4)

 まんがについて少し変わった対談。京都精華大学にはマンガ学科があるそうだが、そこでのレクチャーとしての対談を本にまとめたもの。

 マンガとは「饒舌な象形文字」という発想の牧野さん、漢字とそのルビにあたるのがマンガだという養老さん。二人のマンガの捉え方は「なるほど」と思わせられる。養老さんは、「錯乱坊(チェリー)」「揚豚(喝:カツ)」と読ませるのはマンガの本質だという話しを高橋留美子のマンガを題材によくされいているが、その発展としての話しが記載されている。

 説明資料を文字や写真ではなく、「マンガ」を適用したら分かりやすいものになる。この大学の作品で、病院で難しい手術の説明をマンガにしたものがこの本に掲載されていた。マンガで読む〜というシリーズはいくつか書店でも結構見かけるが、人気マンガ家とはすこし違った表現技術としての(実務としての)マンガという手段は、今後多くなってもいいのではなか、と興味をもった。

 とかくマンガを馬鹿にする人がいる。じゃ、小説なら高級なのか? いやそうではない。小説だって、「しょうもなー」という内容のものは結構多い。マンガという表現手段とその内容とは別けて考える必要があるだろう。

 そういえば塩野七生の「人々のかたち」という本の冒頭にある一文を思い出した。「映画鑑賞を読書と同列において私を育ててくれた亡き父と母に捧げる」というものだった。マンガについても、その表現手法と内容を明確にわければ、マンガを読書と同列において、というポリシーは十分成立するだろう。

2005年9月11日

真鍋かをりのココだけの話し

真鍋かをり
インフォバーン: 1300円
お勧め指数: □■■■■ (1)

 真鍋かおりさんのブログの本。アマゾンで古田選手の推薦(帯の広告?)を見かけたので購入してみた。比較的「利発系のアイドル」というカテゴリーに分類される真鍋さんだが、どんなブログなんだろうか?と思い読んでみた。

 20代女性の日常的な思いが綴ってあるもので、FM放送で自分の日常を語っている番組を聞いているような、BGMのようなものでした。それぞれ、仕事が大変だという面もあるし、楽しそうな日々も感じ取れますし、人間だけあってアイドルといえども落ち込むこともあるんだぁということを知りました。

 だた、こういうブログって、芸能人(あるいは、かわいらしい女性だと分かっている人)だからわざわざ読みに行くのではないか、とも思いました。

 内容で読ませるブログって難しいでしょうね。楽屋ネタとか、リークネタとか、「自分はこんなにすごいことをしている」ということを発表するネタとか、普通の人は結局そういうものになってしまうでしょうね。

 とはいえ、巻末のブログ10箇条は経験者として良いアドバスが列挙されているので、結果的に良い本だったといえるでしょう。でも、1300円ってのはどうかなぁ。写真を削って読みもの的にしても本としては成立すると思うけれど。

2005年9月 4日

得する生活

橘玲
幻冬舎: 1575円
お勧め指数: □□□■■ (3)

 金融(消費者ローン)に関する知識、税金、その他得する情報についての解説。多くの人には関係がないかもしれない。アコムやプロミスといった大手消費者金融の話しから、金融についての原理的な話し、日本のゆがんだ法律とその影響、クレジット(カードやローン)についてのからくりについて教えてくれます。消費者金融で破綻する人はどういう人なのか、それをマスコミがどのような「枠」にして報道するのかよく分かります。リスクという概念、小学校、中学校という義務期間中になんども説明してほしいですね。この概念がないと、大半の人が割を食うことになるので。

 この本にちらちら出ているトピックをプロットに折り込むと『永遠の旅行者』につながりますね。あの小説は著者が出版した本の一つのまとめなんですね。

迷いを断ち切る50の方法

中谷彰宏
ダイヤモンド社: 1429円
お勧め指数: □□□□■ (4)

 本当はできるのにやらないでいるから「迷う」。全くできないことであったり、いとも簡単なことであれば迷いなどない。迷いは先延ばしする時間がある(つまり、ヒマな)証拠。さっさとやれば迷いなどないのだ。そういう著者らしい主張の中谷本。

 言われてみればそうだよな、と思うことが簡単明瞭で平易な、しかも短い文で書かれている。読み出したらとまらない。

 ”人生ゲームを本当の人生のようになったら、楽しくありません。  交通事故に遭って、保険金や賠償金を払うところにコマが止まった時点で「もう終わったよ」と絶望する人は、ゲームを続行できません。(略)  飼っている犬が隣の蘭の花を食べてしまい、弁償というコマに止まって、「なんでこんな不幸なことばかり起こるのだろう」と嘆いたとしても、他の人からは「早くやろうと」と言われるだけです。”

 確かにそうです。いわゆる仏教の教典や哲学書などでも、実は同じようなことが書かれているのですが、この人のすごいところは日々の生活の視点から語れるところ。早く小説を書いて欲しいです。

2005年9月 2日

お金持ちになれる黄金の羽根の拾い方 — 知的人生設計入門

橘玲
幻冬舎: 1680円
お勧め指数: □□□□□ (5)

 個人が知っておくべき金融の基本的な原理を教えてくれます。借金の本ではないのです。拒絶反応する人は多いかも知れません。この本では「「金持ち父さん」は日本には合わない」とばっさり切り捨てています。しかし、B/Sの基本的な捉え方を教えてくれます。まぁ、メンタリティーしかつかないでしょうけど。

 投資という視点を確立するには、この本は最適です。私は金融についても株式についても「よく知らない」のですが、ただ、そういったものが社会において如何に成立し、どういう機能を持っているのかを知ってよかったと思っています。利回りという感覚をどう身に付けるのか。それは、実際そういう場に参加するしかないのかもしれませんが。

 実はこの本をよんでから3週間経っているので、ちょっと抽象的な感想になっています。