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2010年11月25日

サリンジャー戦記

村上春樹+柴田元幸
文春新書
お勧め指数 □□□□■ (4)


調子にのって翻訳夜話の続編も読み返してみた。
この本は村上春樹さんが『ライ麦畑』が翻訳された直後だったようで、全編それにまつわる対談になっている。
翻訳技術の話ではなく、サリンジャーをどう読んだのかについての語り合い。

この本は村上春樹さんの翻訳で読んだ。
発売当初だからもう何年も前だ。
高校生で読んだのではなくオッサンとして読んだからだろう、何がいいのかさっぱりだった。
どうしてこれが読み継がれるのか。
今でもわからない。
社会に反感を持つ青年の話が、それも大した冒険もしないボヤキ小説が、なぜ若者のバイブルなんだろうか。

とまぁ、こういう理解はこの本を読んでもかわらない。
ぼくはアホなんだろうか。

たとえアホであっても、とりあえず快適に毎日が過ごせているからいいじゃない。
ライ麦が理解できない人も気を落とす必要はないだろう。

2010年11月23日

翻訳夜話

村上春樹+柴田元幸
文春新書
お勧め指数 □□□□■ (4)


英語の論文を書く必要があって、ついつい逃避行動的に昔読んだこの本を手にした。
翻訳の技について必ずしも今必要というわけではない。
にも関わらず、ずるずると全部読んでしまった。

翻訳って難しいけど面白そうだ。
大学の授業でこういう講義を受講している人はしあわせだろう。

英文を読む機会はないわけではない。
ニュースを見たり、論文読んだりする都合上、どうしても必要なことではある。
だけど本当にどこまで理解しているのかあやしいもの。
自分の理解の程度をはっきりと知るには翻訳しないとダメだろう。

翻訳をするば日本語にうまく写せない箇所が多々あることに嫌でも気づくはず。

あれれ、なんか違うなぁ。

そういうことを繰り返しながら翻訳するわけだが、それで終わりということではないようだ。
なにせ相手が文学なのだから。
翻訳結果も文学になっていないとまずいだろう。
となると、そもそも日本語で文学ができる人じゃないと翻訳なんてとてもできないのか。

それがぼくの感想。
しかし、本当にそうかな。
ちょっと気になったので手元にあった英文の教科書を取り出し、翻訳してみようと試してみた。
ビックリした。
本当に訳せない。
ふむふむ。
やはりぼくもまずは日本語を勉強しないとだめだ。

2010年11月20日

もう一度村上春樹にご用心

内田樹
アルテスパブリッシング
お勧め指数 □□□□■ (4)

新刊だけど内容的には新装版という不思議な出版形態。
改版しようと新しい原稿を追加していたら全体の1/3を越えてしまい、こりゃもう新刊で出してもいいのではないかということで出版されたということだ。
そういうことがどれだけ出版会で行われているのか知らないのだけど、珍しいみたい。

加筆されたのは『1Q84』についてのこと。
あれだけ売れた本だからこの本がそれだけバージョンアップされるのも無理はない。
ぼくのその本を読んだけど、なんともなぁという小説だった。
村上春樹さんのファンである内田樹さんがなにも言わないわけないじゃん。
どころか言いたくて仕方ないのではないだろうか。

つらつらと読むに、なるほど『1Q84』はこう読むのかとわかって納得する。
文学の読みってのはすごいよね。

ただし、村上春樹さんのテーマである「邪悪なものとの地味な戦い」のようなことはこの本でも貫かれているようで、内田樹さんの解説もそういうラインだった。