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2011年7月18日

生ききる。

瀬戸内寂聴+梅原猛
角川oneテーマ新書
お勧め指数 □□□□■ (4)

両者ともに御高齢であるが、日本を代表する巨人である。
まぁ、こういう人たちがいないとぼくらも日本人って大丈夫だろうかと思ってしまうのだが、こんな先輩がいるのだからまぁ日本もやりゃぁなんとかなるんじゃないか。
そう思える人たちである。
ビジネス界の重鎮のような人しかぼくらの(生きている)先輩にいなかったら、こりゃだめなんじゃないかと思っちゃうから。

2011年7月17日

嘘みたいな本当の話

ナショナル・ストーリー・プロジェクト編
イースト・プレス
お勧め指数 □□□□■ (4)

嘘のような本当の話を一般の人から募集し、高橋源一郎さんと内田樹さんが選定した面白い話の本。
値段が1000円ってのは安いなぁと思ったのだが、著者印税がないからなのか。
短くて、それで面白い。
最初どうかなぁと思ったが、数編を立ち読みしたら面白かったのでそのまま購入した。
普段ぼくが買う本には興味を示さない嫁さんも「これ面白いよ」と言ってくれた。
普通の人にも一つくらい、へぇと言わせるような話があるもので、そういうものを掘り出してみたという試みだろう。
確かにちょっと読み難かったり、意味がわからなかったりするようなものがあるけど、それは話の面白さとはあまり関係がない。
次も楽しみにしよう。


2011年7月16日

おおきなカブ、むずかしいアボガド

村上春樹
マガジンハウス
お勧め指数 □□□■■ (3)

エッセイには「なんの足しにもならないような」ことが語られていて、味気ないというより、主張のなさが平和感をだしてくれているような気がする。

連載媒体がアンアンだからということもあるかもしれない。
ただ、読んでて平和感を感じられる本は、たまにでもいいから読んでおくと、すこし自分の生活を立ち止まってみることができるような気がする。

最後の一編は震災後の発行だった。
連載はまだ続いているようだ。
この次の感は震災色がでてくるのかもしれない。
村上春樹さんがどのように震災について書くのか、興味がある。

2011年7月15日

原発大崩壊!

武田邦彦
ベスト新書
お勧め指数 □□□□□ (5)

タイトルは煽りなんだけど、編集者が付けたのだろうか。
早速読んでみる。
なるほど、原発そのものの耐震性はそんなに強くないし、原子炉以外の建屋などは普通のビル程度なんだということがよくわかった。

海岸近くにある建屋なのに、対してウォーター・プルーフじゃないのには疑問に思っていたいのだが、そもそも建物が地震で持たなかったということかもしれない。
これじゃぁ他の原発も危ない。
だってこれから地震が沢山ありそうなのに、こんなものを動かしているのは正気の沙汰ではない。

もっといい原発を作っておけば良かったのになぁ。


2011年7月14日

「ゴッホ」にいつまでだまされ続けるのか

小林英樹
情報センター出版局
お勧め指数 □□□□■ (4)


こんどくるゴッホの絵は贋作なんだそうだ。
新宿にあるあのヒマワリの贋作なんだそうだ。
アメリカには沢山のゴッホの贋作が名だたる美術館に展示されているそうだ。

そうなんだ。
ただ、それらは研究結果であって、多くの人が認める事実ということではないそうだ。
だから「ゴッホの絵が来日」と称して展覧会を開くと、贋作であっても多くの人がやってくるわけだから。

いろいろな証拠を示して「だから贋作ですよね」という論理でその所有者に同意をもとめても、「そうですね」なんて認めることはない。
その時点で美術館の資産価値は何十億円も減るし、美術館の「見る目」も疑われるから。
ゴッホ美術館にするあ贋作がどうどうと展示されているそうだから、おそらくは何が贋作かなんてのは社会的なコンセンサスでしかないのかもしれない。

ただ、この本では贋作と判定するときの根拠をきちんとしめしているし、ぼくにはその道筋は「なるほど」と理解できるものであった。
というわけで、ぼくは著者の判定を受け入れることはできる。

夏休みにでもゴッホ展に行こうかと思っていたが、そんなものはやめて別の展覧会にお金を使うことにした。

2011年7月13日

いつも心にクールなギャグを

デーブ・スペクター
幻冬舎
お勧め指数 □□□□■ (4)

震災当初から落ち着きがなく、いつも悪い方向へ事態が行こうすることを恐れていたぼくにとって、ギャグなんて読む余裕はなかった。
ただ、その時期にiPhoneを手に入れ、ツィッターをニュース速報代わりにするようになり、しょうもないツイートが毎日登場するデーブ・スペクターさんのフォロワーになった。
親父ギャグのツイートが日に何度か流れてくる。
それはそれで、ちょっと和むので気に入っていた。

そのツイートが本になったそうである。
タイムラインを遡っていけば全部読める内容なのだろうけど、まとまっていたほうが読みやすい。
1000円超えていたが、確実に楽しめる本だからということで購入した。
もちろん、あっという間に読み終えた。

人の気分はその人の置かれた状況を色濃く反映するもの。
というか、その人の置かれた状況をどのように「理解」しているか、どのように「感じているか」がその人の気分。
気分が塞ぎ、物事が見えなくなると、生き延びる可能性は大分減る。
気分が暗くふさぎ込んだ人に幸福の女神はやってこない。
なんたって「女神」というくらいで「お母さん」ではないのだから。

震災後のデーブ・スペクターさんのツィートは、地味でしょうもないことも多いし、時事問題としての政権批判も多いのだが、考える方向にヨワクを作ってくれていた。
「しょうもない親父ギャグだな」
そう思える瞬間をつくってくれた。

サバイバル時の生き方のコツを一つ教えてもらったようなもので、デーブ・スペクターさんには感謝している。


2011年7月12日

放射能と生きる

武田邦彦
幻冬新書
お勧め指数 □□□□□ (5)

原発の現状や、事故発生からの推移などについて知りたいと思っているのだが、思うような本が見当たらなかった。
どれもこれも脅し煽りや当為(ああせえ、こうせい)が満載で、だめだこりゃばかり。
そもそも落ち着いた解説があってもいいはずだ、と思って店頭をぶらぶらしていたら、この本が目に入った。

中身は落ち着いた解説ではなくむしろ逆で、震災当初から日々更新された武田さんのブログを時系列に掲載したものである。
誤字脱字を修正しただけで、当時の情報をもとに現状を推論し、掲載してある。
今となってはだいぶ事実がわかっているところもあるが、それらと推論を比較することができる。
推論には形式というものがあり、それがどのくらい正しいのかはちゃんと検証できる。
そして、この本を読めば「武田さんの推論は正しい」ことがわかる。

これはスゴイ情報である。
というのは、今後の推移についても武田さんの推論は他の人よりも信用してよい。
さらに、知識の運用という面からも、冷静に適用できるという意味から、ペットボトルリサイクルは誤りだろうし、地球温暖化仮説もおやまりなんだろうということが「言えてしまう」のである。
両者は政府やご用学者が深く関与しているという点で、原発解説と同じ構造を持っている。
だから、この人の推論は正しいだろうと言ってしまって構わない。

武田さんのブログの存在は知っていたが、どうにもぼくは信用できないでいた。
ぼくは以前から武田さんの著者を読んできたし、その主張にも同意していた。
しかし、原発という状況に際して、ぼくの思考能力は大分落ちたようである。
自分で考えても、残念なことだが、いざというときには死んでしまう選択をするかもしれない。
もっともっと冷静になって考えることができないものか。
武田さんの推論過程から学んでいきたい。

2011年7月11日

3・11後の心を立て直す

香山リカ
ベスト新書
お勧め指数 □□□□■ (4)

震災から4ヶ月たった。
この間、ぼくもいろいろと困ったり怖かったり考えたりしていた。
本を読むことで得られる知識なんて、現実の社会ではあまり役に立たないということも思い知ったわけだ。
それにしても、何が事実で何が推測で、そんでもって何が一番確からしいことなのか。
楽観から悲観までの情報が一斉に放送されているときに、通常のようにまともに判断しようとすれば、そりゃおかしくなっていくわけですよ。

普段の生活で気にくわないことがあったりして、いろんなことにイライラすることはどんな人にもあるだろう。
しかし、我が身が危なくなっている状態では「他人がどう思っているのか」なんて本当にどうでもよくなってしまう。
おそらくだが、一時的なことだろうけど、「あぁ、おれしっかりしなきゃ」と思っていた人が多かったと思う。
ところが、状態が日々変化していた時期がすぎ、なんだか変化のスピードが遅くなってくると、こんどはいろんな人が不安に思い、香山リカさんの言葉を必要とするわけだ。

この本に書いてあったこと、ぼくも疑問に思っていたことがいくつかあって、その問題についての香山さんの考えを知ることができた。
もちろん、そのものずばりではないか、やっぱりそうだよね、なぁんだよかった、と思うようなこともあった。

新書は週刊誌よりもじっくりと特定の著者の考えをしることができる「速報」メディアになりつつあるようだ。