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もう牛を食べても安心か

福岡伸一
文春新書: 720円
お勧め指数: □□□□□ (5)

 狂牛病とはなにか。何が問題なのか。病気の背景の小史と現在の病気の解明正体を説明する。また、全頭検査による輸入制限は「正解だった」という主張の説明がある。さらに、「消化という現象はエネルギーを得るという側面と他の生物のもっていた情報を破壊するという側面がある」という見方を紹介している。

 まさに新書。読み安さと内容のレベルのバランスがとれている。私はこういう新書をもっと読みたいです。日々の生活のなかで世界を見る違う視点が得られたからです。

 役人のやることで街ゆく人のためになることはないと思っていましたが、私が間違っていたようです。吉野家の牛丼が食べられない、という庶民の感覚からいえば「アメリカから輸入を抑えて、国内牛を無理やり食わせる気だな役所は」と思っていました。本心はどうだったのか不明ですが、結果的に全頭検査は最適な処置であり、今後も続ける必要があると私も考えるようになりました。詳しくは本書を読んでもらえればわかります。基本的に国レベルでの行動は「他の国の為によかれ」と思ってやることなどありません。アメリカの犠牲となって私は死にたくないですから、今後も「怪しい牛肉はいらない」と言い続けて欲しいです。

 狂牛病のメカニズムの仮説の説明において、たんぱく質のもつ情報、免疫系のもつ情報についての一風変わった見方が説明されています。自分に近い種を食べれば、それだけ食べた物の情報が分解されないで取り込まれるというもの。自分の中に別の世界ができてしまう。病気の原因になります。それが嫌ななら、自分から遠い種を食べることだと説明されています。野菜、魚でしょうか。自分から遠い種ならば、分解しないと自分の中に取りこめない。分解するところで情報が消されるからです。

 これは直感的に正しく感じられます。特に、新生児などの免疫系がろくに機能していない段階で「肉骨粉」などを与えたら、脳にダイレクトに別の動物の「情報」が入り込んでしまう。もちろん、プリオン仮説はまだ問題があるということですから、必要以上に心配する必要はないですが、子供に食べさせるものは注意しないといけないということですね。アトピーなど本質的な原因が不明な病気とも関係があるかもしれないという発言もこの本にありました。

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