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自分を生ききる

中川恵一 x 養老孟司
小学館: 1470円
お勧め指数: □□□□□ (5)

 がんと医療の話し。BSでの番組を単行本化したものである。活字が大きく、内容を詰め込みすぎていないので、たいへん読みやすい。活字なれしていない人にも読んでもらいたい、という作成者側の意図が明解に伝わる。

 メッセージは3つ。日本人の死因の1/2は今後10年で癌になるだろう、癌治療の方法として放射線やモルヒネを飲むことを世界標準並に増やす必要がある、緩和医療についての理解が医者を含めて人々により理解されていく必要がある。

 自分だけは死なないと思っている。これは、養老さんの著書での一貫したメッセージの一つ。それを緩和医療に取り組まれてきた中川さんとの対談により、共通の結論に導いていくのがこの書物のねらい。自分を含め、末期には「痛くて物が考えらない」癌になったらどうするか、そういう人の苦しみを緩和することがもっと考えられてもいいのではないかという意見は議論の余地は無い。癌が再発した場合回復の見込みはないため、大抵は病院をたらい回しにされ「癌難民」になるという現実もあるそうだ。点数を稼ぐ、あるいはた5年生存率という数値を目標にすることに意味を見いだす人がいても、それは結局「他人事」いや「人間のこと」とも思っていない現場の医療関係者は、仕方ないだろう、ですますそうだ。

 現実は理想的ではない。自分がそのような目にあったときに、何ができるだろうか。「その時その時を楽しんで、精いっぱい生きること」がもっともよい死に方だというコメントも「どこかで聞いた事がある」くらいありふれたもの。しかし、実感をもってそれを主張する著者達が言うのだから、本当のことなのだろう。

 生きるための知恵など、探さなくてもすでに身に付いているのかもしれない。その「意味」を如何に見いだすのか、それが本当の問題なのだろう。

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