漢字百話
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白川静 甲骨文字から漢字の由来を教えてくれます。いわゆる象形文字の原形を提示し、それがどんな意味をもち、それがどう発展していくのかを見ていくことができます。本当に、象は象なんだ。そんな楽しい気分になれます。 漢字といえば、部首や旁(つくり)ごとに意味があり、それを配置、構成することで一つの別の意味を持たせるものだと和私は理解していました。例えば、草冠があればそれは植物に関係があるとか。しかし、実はそれだけではないらしいです。本来の字形をさぐっていくと、たまたま変形されて、整理されていくうちに「草冠」ようなものができたのだと。そして、この段階で漢字が持っていた本来の意味をうしない、草の仲間という後付けに意味が付けられてしまうのだと。後から考えだされた理由の方がもっともらしいですが、しかし、その文字の由来は単純ではないのです。 |
「右」「左」という文字の「口」「工」の部分以外は「手」。量に「言葉入れる特別な入れ物(口)」と「道具(工)」を携えて、神に祈る場面が由来になっているそうです。古代世界ではおしなべて「神」が社会を統べていたことがよくわかります。あるいは、呪術といったものが、どれだけ力を持つと思われていたのかも。そんなことについて、現代の感覚から離れて世界を見ることができれば、漢字が成立した世界を想像できます。
漢字をぼやーっと見ていても、文字のそもそもの由来を想像できるようになると、電車の縦吊り広告を眺めるのもまた違った意味で楽しみが持てます。漢字そのものの成立に興味を持たせてくれる導入の一冊としてお勧めします。