逆説ニッポンの歴史観
|
井沢元彦 主に戦後のマスコミについて論じています。実際にマスコミの記事を引用し、その記事のバイアス(偏見)を取り出し検討します。一種の社会科学という活動の実例です。嘘・ホント、良い悪い、正しい間違っているとい「言葉」合戦は避けて、記事の根拠とその背景、そして、それを無批判に「事実」として信じた人たちがどういう行動とっていたのか、それが、どのような結果となったのかを「明らか」にしてくれます。本来、ジャーナリズムとはこういうもんだろう、とため息がでます。「ジャーナリズム」を対象にしたジャーナリズムの良い本です。若干悲しい状態ですね、それって。文句なしに良い本なのだが、まぁ、一般受けはしないかもしれません。普段接しているメディアが正しい信じたい気持ちもわかりますし。 |
著者の一つの視点が印象的です。歴史を「データベース」として捉えているところです。過去の発生した出来事を「なぜ、起きたのか」「どのような、状況でか」という視点から読むのだ、というのは塩野七生さんの著書で知りましたが、この本の著者も同じようです。
過去の人が現代よりも劣っているわけでもないし、現代の人が過去の人より多く物事を知っているわけでもないです。そもそも生まれたときはゼロリセットされていますし。ならば、歴史は人間世界のデーターベースになりえます。『ご冗談でしょう、ファインマンさん―ノーベル賞物理学者の自伝』に「方程式が同じなら、現象も同じ」と発言するシーンがあり、なるほどと感心したことをよく覚えています。ならば、このことは物理だけでなく、人の世界にも十分宛てはまるかもししれない。 歴史はそう捉えれば良い。
自分とは関係のないストーリーとして記事を読みたい人、自分がもっとも知性的であるという事実を口にしたいがために新聞を読む人がいるのなら、このような人からはさっさと距離を置いたほうが良い。新聞というのは、無意識に何が真実で何が正しいかをすり込んでくるので、注意したほうがよいです。活字慣れしていない人ほど、新聞は洗脳の効率的な道具になってしまいます。