レット・イット・ビー
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若桑みどり 美術史家の若桑みどりさんのエッセイ集です。10年以上前のものだし、扱っている話題が自伝につながるものが多いです。若桑さんはずっと美術史教授だろうと思っていたのですが、語学教師として20年以上も生計を立てていたのですね。しかも、二人の息子さんを女手で育てている。そんな環境だったから、嫌らしい感じのしない骨太な美術解説をされるし、フェミニズムについての発言も多いのでしょう。イコノグラフィーの本を読んでいるだけではわからない一面を知ることができました。 芸大の音楽科で語学教師を20年以上しているのならば、その間に美術史家としての業績を積んだことになります。それはスゴイ。日々の雑事にかまけ、時間がないという言い訳でなにもできないまま歳をとってしまい、あぁ運が悪いなぁ、と現世を恨むのが普通の人です。嫌なことが多い日常だったのでしょうが、それでも結果をしていく。その結果は甘いものになるはずはないでしょう。 絵は何年も生きてきた人でないと理解できるはずはない。だから、子供にはわからないのだ。そう主張されているところがあります。子供にもわかるのは生物学的な「色彩」の世界でしょう。いわゆるグラフィックデザイン。現在でクリエーターと呼ばれる人たちのつくる雑誌紙面は綺麗ですけど、質量を感じるもものがないのは、子供でも理解できるものだからでしょう。芸術にはならないのかもしれない。 この本のタイトルは、齢を重ねるときに噛みしめる「生きるコツ」なのかなと思いました。 |