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ロウアーミドルの衝撃

大前研一
講談社: 1600円
お勧め指数: □□□■■ (3)

 一億総中流から二極化へ。持てるものはさらに富、持てないものはさらに貧しく。これからの日本の社会変動がこうなるので、中流と考えている人はどうなっていくのか。もう、マイホームもマイカーも望むべくもないのではないか。「考える技術」の続編です。「サラリーマンにがんばってもらう」と税調審議会の会長が言うくらいの時代です。ようするに、搾取対象は「大多数のサラリーマン」ということなっていく。さて、どうやって自衛していくべきか。

 大前さんの発言を嫌う人は「すーぺー」と言ったりしてちゃかしていますが、そう言う人はアホなんだから仕方ありません。どう考えようとも、借金は数学の原理で増えていきます。考え方でどうなるものでもない。「前向きに考える」ことですべてよくなるというのは、60年前の日本の「精神主義」です。それを不意調子が軍やマスコミが「一億総自決」まで考え、自らの考えが「悪い」というところにいたらなかったことを思い出しましょう。

 いろいろ書かれていますが、大前さんの本ですから、主張は一貫しています。サラリーマンの人が自衛できるとしたら、その方法は、(1)マイホームを買わない、(2)マイカーを買わない、(3)教育に金をかけないで、自分の時間をそそぐ、というものです。年収の大きなところから手をつけて、それでいて社会的な生活に支障を満たさず、かつ、幸せな気分で生きていくことができるという「解」です。

 これ、良くできた方程式です。上記の(1)ー(3)を実践すること、自動的に政府や業界にお金をむしり取られることになっています。早い話が罠なんです。だから、実はこの程度の工夫で結構楽しく生きていけることがわかります。決して、財テクに走る必要などないのです。収入と支出、最大のファクターに対応すればよい。実に明解。

 さて、こんなメッセージを殆どの人はどう受け取るのでしょうか。それは、ちょっと興味深いです。たぶん、殆どの人はダメなんでしょう。


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