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印欧語の故郷を探る

風間喜代三
岩波新書: 580円
お勧め指数: □□□■■ (3)

 印欧語の故郷を探る。印欧語が文明の始まりとどう関係あるのか。そんな疑問を持ったので読んだ。

 言葉の使い方で知性を計ることができる。そう考える人には印欧語がどこで発祥したのかを知る必要があり、そして、ドイツ人はそれがヨーロッパではなくゲルマンである必要がある。そういう争いのようなものまで読み取れる。ゲルマン民族は優れている。ナチを後押しするかたちで印欧語の故郷探しが変遷し、反対論をとなる学者が消えていくさまが記述されている。もちろん、そればかりではなく、歴史や考古学の裏付けを求め、純粋な疑問を追求する立場の著者の見解もしめさている。しかし、印象にのこるのは、20初頭のドイツの人たち、インド・ゲルマン語といまだに主張する人たちのメンタリティーである。

 この本を読んでいて、科学に対する姿勢について考えてしまった。仮説を立ててから証拠を探す、実験を行うという姿勢には、「見つけちゃったもの」に対する真摯な態度が必要だということ。不利な証拠は「見ちゃったら最後」ではなく、「みちゃったら、それを高らかに示す覚悟はあるか」という気概をもてない人は、科学をやると迷惑をかけるということだ。みたくないデータをどう扱うのか。学者というのは、自分の意志よりも感覚よりも、この態度を大切にする人でないとまずい。また、ナチのようなことをして、多くの人に迷惑をかけることの片棒をかつぐことにもなるのだから。

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