ヴェネツィアの宿
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須賀敦子 なぜ、須賀敦子という人の評価は高いのだろうか? その疑問が一発で吹き飛びました。確かに、この本は忘れられない本です。これならば、日本の文芸誌に残ります。読んで良かった。 過去の自分の視点、現在の自分の視点、子供の自分の視点と話しごとに縦横無尽に飛び回ります。だから、少しばかりの須賀さんの経歴というか生活を過ごした場所や時代を知らないと読んでいて戸惑うと思います。私は「コルシア書店の仲間たち」という別の本を読んでいたので、おぼろげに須賀さんの過去を知ったのですが、どの本でもいいのかもしれない。 ”カティアが歩いた道”、”オリエント・エクスプレス”。この2編は一生私の記憶に残ると思います。若い頃の何気ないけれども人生の分岐点だった出会いとか、楽しかった人生で最後に残るものは何かとか。著者自ら「あの四冊は書けてよかった」という作品はすべて60歳を過ぎてからのものです。なるほど、だからストーリーの結末が物悲しいのでしょう。未来から過去を見ると、「あぁ」という哀しさが溢れてしまうのでしょうか。私にはまだわからないですが。 合間をみて、須賀敦子さんの作品は全部読んでみようかなと思います。そう、思わせる一冊です。 |