ある家族の会話
|
ナタリア・ギンツブルグ ある家族の会話。というか、歴史のようなものです。ナタリアの視点で、子供の頃から大人になってまで、自分の家族にまつわる話しを小説風に仕上がっている。読んでみた感想。これは「歴史書」なのか。 家族にとっては変えようにない事実であり、それは愉快であろうと不愉快であろうとも「仕方ながない」として受け入れるよりない。しかし、時代も国も生活風習も関係がない私から見れば、「なんで、この父親も母親も、こんなしょうもない人なんだろうか?」という気分になる。「なんとういうロバだ!」が口癖の父親など、もう放っておけ、と言いたくなる。親父は選べないのだから、不幸な家族に生まれたものだと主人公に同情してしまう。 そんな家族のどうでもいいエピソードをたどっていくと、この時代(第一、第二次大戦)が見えてくる。しかも、普通の人が何を考えていたのか、それときイタリアはヨーロッパは、そして、日本は何をしていたのかが気になってくる。著者はそんなことを考えず、たんに自分の家の歴史を書いているだけなのかもしれないが、断片ではなくある期間を通して眺めると、具体的な家族が抽象的な家族となり、その時代のモデルを探す一つの切り口となってくる。不思議である。 一つ面白いことに気がついた。子供と自分とを区別しない、あいまいな関係なってしまう傾向は日本人だけではないと知った。ヨーロッパはみな個人の尊重されているものだと思ったが、この時代のイタリアの市民ならば、なんだ家と、日本の人とあまり変わらない感覚があるじゃないかと知って愉快だった。 |