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「空気」の研究

山本七平
文春文庫: 438円
お勧め指数: □□□□□ (5)

 名著です。参りました。頭をフル回転させて読んでしまいます。日本人についての「法則」を抽出して言葉にする技は歴代の科学者に引けをとりません。スゴイ人です。

 日本人ならば誰でも経験があると思います。集まって話しをしているうちに「なんとも言えない圧力」のために、思っていることを言えなかった。それが、愚痴や誹謗のようなものならばむしろ良いことなのですが、俺はおかしいと思う、みんなそう思っているはず、だけどココで言えない、言ったら自分の損になる。そんな状況である。いわゆる「空気を読め」と言われるときの「空気」です。この本は、この空気の正体を暴きます。びっくりです。

 ある場が発生させるプレッシャー。ある馬鹿げた権力が発生する空気。第二次大戦中のばかばかしさは、殆どこれから発生しました。「竹槍ではB29に届かない」そんな誰が見ても当たり前なことを「口に出して言えば」下手をすると殺される。軍人そのものも、実は信じていないのに、催眠術でもかけれた状態になってしまう。これが、「空気」のなせる技です。

 「あの時はそんなことが言える状態ではなかった」 こう回顧する人がいます。事件の主役になった人なのどがそうです。でも、結果的に不幸になる「空気」に対する確実な対処法は存在します。それは、「水を差す」ことです。「興ざめ」や「顰蹙」と同じようにマイナスの意味が負荷されていますが、「空気」などは「水をさせ」ば即時雲散霧消します。先の竹槍の話しも、全員がそれを言い出せばよかったのです。
 ところが、「空気」はそうなることをおそれ、水を差す人に対して「黙れ」と命令します。そこで黙ってしまえば終わります。

 昔の話ではなく、いまでも毎日そこいらで「空気」が発生しています。そして、「空気」の正体は全体主義的無責任体制ですから、絶対に見逃しては行けない。見つけ次第、「水を差す」。花についたアブラムシと同じです。さっさと手をうたないと、自分もばかばかしさに巻き込まれる。自信をもって、水を差そう。そんなことを教えてくれる本です。

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