« グーグル完全活用本 | メイン | 危機の日本人 »

聖書の起源

山形孝夫
講談社現代新書: 650円
お勧め指数: □□□■■ (3)

 ハリーポッターでも抜き去れない歴代ナンバーワンのベストセラー文学である「聖書」の成立に関する小史を紹介する新書。古代オリエントを初めとする古代文明に興味がある人のみならず、美術でも文学でも西洋を理解仕様とする人にとって必須の教養の原点が成立した背景について教えてくれる。

 本当にあったのかなかったのかという次元での論争に私は興味がない。それよりも、どういう背景で成立して、それが同発展してきたのかについては興味をそそられる。その一つの切り口は、口伝文学としての「進化」である。

”福音書に限らず、一般に口承文学に関して、ある物語が、口から口へ伝承されていく過程において、もっとも変化を受けやすい部分は、物語の様式や全体の構造ではなく、むしろ細部の付随的な部分である。それは、人間の好奇心と結合したイマジネーションの結果であるが、好奇心というものは、つねに物語の核心よりも、その細部の明細化にむかって働く傾向をもつからである。
 この法則は、福音書の場合にも、ほとんどそのままあてはまる。たとえばひとつの伝承は、後期のものになればなる程、古い伝承では曖昧な部分ー人名とか地名が明確化されている。イエスと共に、十字架につけられた強盗は、誰であったか。イエスの墓を見張っていた看守長は誰だったか。こうした疑問は、最初の伝承では、ほとんど関心のなかに入ってこない。”

 なるほど、本当にそうかもしれない。物語が考案された初期に細部が決っているのではない、ということである。一般には逆に思われているような気がする。でも、そうではない。
 この法則は、人の噂についても該当するだろう。詳細な情報であればあるほど、かなり伝搬末期であるということだ。口伝文学というのは、そんなことまで研究されいているのかと感心してしまう。

トラックバック

このエントリーのトラックバックURL:
http://www.significa.jp/scienza/BlogMgrMt/mt-tb.cgi/201

コメントを投稿

(いままで、ここでコメントしたことがないときは、コメントを表示する前にこのブログのオーナーの承認が必要になることがあります。承認されるまではコメントは表示されません。そのときはしばらく待ってください。)