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須賀敦子のローマ

大竹昭子
河出書房新社: 1800円
お勧め指数: □□□□■ (4)

 須賀さんの軌跡をたどるエッセイ集。須賀さんの文章で紹介された土地、人を巡りながら須賀さんの生き方を理解しようとしている。この本だけ読むとすれば写真がよいかんじなので楽しめるだろうけど、須賀さんの4部作をよんで、その半生に思いをはせることができるのならば、かなり興味をもって読めると思う。

”「須賀さんは、自分の作品を書く前から、作家のような話し方をしていました」
  須賀と三十近く齢が離れていながら、さまざまな面でつながり持つ友人がこう語るのが、私には興味深かった。
  (中略)
  では、「作家のような話し方」とはどのような話し方を言うのだろうか。作品を読むときに、なぜ、このように書いたのかと作者に問いかけ、その対話が成立するかどうかによって作品の価値を判断する。作家と作品を過度に切り離すこともなければ、作家の生い立ちや性格を直截に作品と結びつけることもしない。作家が生まれ持った素質と、人生の過程で得た素材と、醸成された思想とがどのように作品化されているのかを、自分の生と重ね合わせて学びとうろうとする態度、つまりは書くことを生き方の問題としてとらえるということなのではないだろうか。”

 なるほど。そう考えれば、架空の物語を書いてそれを楽しんでもらえることにもきちんとした「意図」が入り込む余地がある。文学というが果たして学問なのかと以前から疑っているのだが、上記のような「意図」をどう作品に反映するのかという結果を体系化すれば、表現の手法についての学問になる。道具の学問が工学になるように。

 そんなことよりも、眺めるだけでも、ローマの普通の風景写真がなんともいえない雰囲気を醸し出しているので、見るだけでも楽しめる本です。


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