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日本語に主語はいらない

金谷武洋
講談社選書メチエ: 1500円
お勧め指数: □□□□□ (5)

 すばらしいです。日本語には主語はなかったのですね。そもそも、主語、述語という文法のとらえ方は印欧語の研究から生まれてきたものであって、日本語の構造とは関係ないのですね。「(ヨーロッパの)文法では主語・述語がある」から、日本語にもあるはずだと仮定し、無理やり日本語の文法をねつ造しただけだった。そんなことが暴れています。もう、感動的です。

 明治はあらゆる意味において偉大であったというようなことを司馬遼太郎さんが言っています。私もそう思います。だからといって、大槻文彦や橋本三吉に従う必要などないのですね。文部省が正しいと言っても、権威ある有識者が「日本語に主語がある」と言っても、「そもそもないものはない」のだから、アホみたいに付き合う必要ないです。日本語には主語がない。ないものはない。

 日本語の基本文型は3つ。(1)名詞(だ、です)。(2)形容詞。(3)動詞。これだけです。英語みたいにSVCなどのS(主語)は必要ないのです。これが、どこまで理解できるのか。
 印欧語には「動詞が主語によって変わる」という仕組みがあります。主語がないと動詞が言えないのです。一方、日本語は主語がなんであっても、動詞は変わらない。だから、必要ない。

 このような論理の展開は、愉快といえますね。今までずいぶんとくだらないものに付き合って文章を書いてきたのかと思うと悲しくなります。論文を日本語で書くときに、無駄な努力をずいぶんとしてきたのだと思いました。

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