やがて哀しき外国語
|
村上春樹 別段外国語論が展開されているわけでもないです。外国で生活するなかで書いたエッセイ。立派なことが書いてあるわけではないのだけど、つい読んでしまう。事件もない。ただ、妄想のように考えていたことが言葉によって輪郭を与えられ、なるほどそうか、となる。上手ですね。 |
« 2006年05月 | メイン | 2006年07月 »
|
村上春樹 別段外国語論が展開されているわけでもないです。外国で生活するなかで書いたエッセイ。立派なことが書いてあるわけではないのだけど、つい読んでしまう。事件もない。ただ、妄想のように考えていたことが言葉によって輪郭を与えられ、なるほどそうか、となる。上手ですね。 |
|
塩野七生 読むのは3回目である。ローマに向かう飛行で読む塩野七生は絶品である。狭い機内だが、楽しみが詰まっている時間。たっぷりある時間に、塩野七生を読みながらローマで過ごす日々。これは、私が想像しうる極上の時間である。 この本はローマ人の物語の前半部分のダイジェストのようなものである。ただし、本人は「絶対に要約できない」といっているローマ人の物語なので、私自身の感想でしかない評価ではあるが。ローマ建国から五賢帝の時代までの「リーダー」となる人について語っている。それも、ただ賛美するだけではなく、「なぜそうなったのか、どういう状態でか」という問いを望ながら答えてくれる本なのである。人間世界において、日の下に新しきものなし、であるのだからビジネス書などを読むよりも、私は現代社会が見えてくるような気がする。 |
|
塩野七生 この本は、イタリアからの帰途に機上で読んだ。これも何度目であろうか。塩野さんがローマ人にのめり込む前のエッセイ集で、ルネッサンス期の作品を書いている背景がかかれている。ローマ人に始めから興味をもっていたのではない、ということがよくわかる。この時期はベネツィア一辺倒。その背景として、ローマ人があるようである。 結局、自分の興味のあることを勉強していくと、興味の範疇の「境界」にも目を配らざるを得なく、それが結果的に興味のシフトを促すようである。浅く広く学んでいたら、結果的に「記憶に何も残らない」実に哀しい人生を過ごすだけのようである。エッセイとはいえ、自分とは別の人の生き方も読み取ることができるものなのだ。やはり、結果を出す人の生き方には物語があるようである。 |
|
ダニエル・ピンク 大前研一訳の本は珍しいと思って手にすると、その理由がわかる。これは、以前から大前さんが主張している内容ではないか。ある水準までマーケットが成熟した後、カスタマーが求めるのは「物語」である。これを実に平易な言葉でかっている本である。久々のビジネス書らしいビジネス書である。 情報、知識、文脈、そして感情を小さなまとまりに要約してくれるのが物語である。それ自身でパッケージなのである。そして、人類史のうち、言葉で残っているものは神話であり、ようするに物語であることを考えると、これまでもこれらも物語の重要さはかわらないだろう。食うや食わずから、一定の余裕がうまれれば、商品の違いを決定づけるのは「物語があるかどうか」である。実に分かりやすい主張である。 売れ筋のCMをみてみればよい。製品の性能よりもイメージ、イメージよりも「物語」をおしてるものの方が記憶にのこる。残っているのは情報でも印象でもなく「感情」というか、クオリアなのである。そして、無意識のうちのクオリアを人は選択する。それがよいものであれば。いかに、人の中に入り込むか。共感という言葉は、ついにはマーケティングに使われる時代になったということ。そう思って、今後の商品を見ていくと、売れるものが売れる理由がよく見えてくる。 |
|
梅田望夫 "世界政府っていうものが仮にあるとして、そこで開発しなければならないはずのシステムは全部グーグルで作ろう。それが、グーグルの開発陣に与えられているミッションなんだよね。" Web2.0というキーワードがささやかれている中、確固とした魅力的なポリシーをかかげているのがグーグルである。言葉で議論する人たちを尻目に、具体的な結果をもとに世界を変えていく。リチャード・ブランソンのようである。 一般的に、頭の良い人はうだうだいう。偉そうな御託を並べるが、実際問題なにもできない。できても糞みたいなものがほとんどである。彼の真の同期は、「俺はすごい」ということを広めたいだけなのだが。巷で跋扈している「クリエーター」もほとんどがそう。そんな人が口にするWeb2.0という言葉は忘れてよいだろう。 Web2.0ではサービスをパブリックに開放し、開放されたサービスを内部に組み込んで別のサービスを提供するという連鎖が存在する。そんな解説記事を読むよりも、本書を読んだ方よいだろう。私も、Web2.0という考え方に魅了されている。 |
|
ジェームズ・スロウィッキー ある問題について、多様な人の意見を集計すると、大体妥当な答えになる。人が思うほど、衆愚というものは存在しないのだ。ちょっと面白い始点の話を、きちんと解説している珍しい本です。 衆愚政治という言葉がある。普通の人の意見など、意味がない。頭の良い優れた人の意見に耳を傾けるべきだ。そいういう認識が存在する。いわゆる政治学の問題である。これまで数千年、そんなことを実現しようとがんばってきたようだが、結局一度も成功していないようである。まれに、一時的に目的を達成できそうな状態になっても、コアになる人が死んでしまえば、再び混乱になる。結局、安定して優れた人を排出する機能は人間社会にない。だから、困っている。 多くの人を集めて意見を集計すると誤った方向にいく。実はこれは「多くの人の質」に問題があるのだ。均質な人をたくさんあつめても、集団思考という状態に入り、事態は悪い方向へと進む。 まぁ、結局、B29を倒すために竹槍訓練している人にむけて、「竹槍ではB29に届かない」と言わせるかどうかである。 私もよく経験する。頭の良い人の集団ほど、周りがばかだと思っているというシーンは日常茶飯時である。そういうくだらない集団からいかにして逃れるか。これは楽しく生きるために是非とも知っておくコツであろう。みんなの意見は「案外」正しいのである。そういうマインドをもって、人の意見を集計してみる視点を持つのは一つの方法であろう。 |
|
いしいひさいち いしいひさいちの漫画である。何気なく立ち読みしたのだが、地味に面白かったので買ってしまった。「がんばれタブチくん」を思い出す。この漫画の主人公はミステリー作家の女性である。モデルがいるのだろうか。高村薫や宮部みゆきと同じラインの作家ということにしているようである。私は詳しくは知らない。だらしない生活を送っているが、小説はばりばりこなすという小説家、キャラとしてはなんどか見かけるのだが、ほんとうに存在しているのかね、こんなタイプの人。私はしらないけど。 |
|
ピエール・グリマル どうだろう。もう一つの感じがする。アウグストゥスの時代のローマの文化などを紹介する小冊子である。もちろん、アウグストゥスの自身についても解説している。ただし、塩野七生さんの本を読んじゃった人には、ひどく物足りないものを感じさせる程度のものである。同時代の文学について紹介もしているが、いかんせん、ホラティウスなどは読んだことがないので、 さっぱりぴんと来ない。古本は、ローマ史を専攻しているが箸休めに読むような本のようだ。あまり面白くなかった。 |
|
ピエール・グリマル 古代ローマの日常生活についてのお話。専門書ではないので軽い感じ。衣服のこと、家のこと、貨幣やお店、食料品についての解説で、カルチャースクールのような感じがある。読みごたえがあるとか、考えさせられるといったものではない。ほんとうに肩が凝らない程度の話なので、肩透かしをくう。ただし、この本ではローマ史についてざっとしていないと全く面白くないでしょう。塩野七生さんの本を読んだ人には絶対に物足りないという感じがするでしょう。 |
|
御立尚資 普通のビジネス本。勉強はいいから、それを結果に結びつける行動をしろ。蘊蓄を語るより、知識を仕入れるより、企画をして実践をする。要するに、それをやることなしに、この先は開けないぞ。そういうメッセージの本である。 この本も、キーワードを並べるだけでだと「うんざり」するタイプの本なのだが、読んでいるときにはあまり気にならなかった。でも、最後は「仕事を楽しめ」とか、そういうつまんない話になっている。言われなくてもそうしている、という気になる。典型的なビジネス本ですね。 |
|
大前研一 もし、大前研一の著書を読んだことがないのであれば、この本は導入としてお勧めである。一方、たいていの本をよんでいるのならば、なにもこの一冊を読む必要はない。そういう、エッセンスのような本である。 |