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誰のためのデザイン?

D・A・ノーマン
新曜社 3300円
お勧め指数 □□□□□ (5)

 インダストリアルデザインに興味がある人ならば書名くらいは知っているだろう有名な本である。要するに、良いデザインには、使いやすさと美しさとがうまく混ざり合っているものである、という主張が書かれている。使いやすさとは、便利な機能ではなく、アフォーダンスを自然にとりこんだ「無意識に使える」デザイン、そして、美しさとは「視覚的印象」のコントロール。

 工学系の人間は、必要以上に機能を詰め込み、論理的に構成すればそれが「つかいやすい」だろうと想像している。ところが人間は、からずしも論理的に行動するわけではない。それに、使う前に決めた機能が実用場面で無駄なく機能するかといえば、そんなことはめったにない。この2点の事実を謙虚に受け止めることがでるかどうかが、工学側の学ぶべきことである。
 一方、意匠の人間は、視覚的な印象をコントロールすることが優先される。美しいといっても、装飾的なものもあるし、ミニマリズムのようなものもある。たとえ物がそれらをまとったとしても、そのせいで運用に支障がでたらもともこうもない。道具ならば、使ってこそである。美術館に飾ることが目的ではないのだ。ならば、物が使われるときに美しさを発揮するようなデザインを目指す。これが意匠側の学ぶべきことである。

 インダストリアルデザインに興味を持つ人ならば、あるいは、人にとって使いやすさとはなにか、を真剣に考えるときには是非ともこの本を読んでもらいたい。話はそれからだ。

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