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他人を許せないサル

正高信男
講談社ブルーバックス 780円
お勧め指数 □□□■■ (3)

 ずいぶんと急いで編集したのだな、という感がある。内容はブルーバックスで、というより新書で出版するべきエッセイ。

 だからといって内容に不足があるわけではない。むしろ論点は明快で、携帯世代では「世間もIT化した」というもの。ケータイは情報検索ツールというよりも、世間というしがらみを運ぶ媒体になってしまった、つまり、IT技術によって世間が普遍化してしまったという主張には、なるほどと頷いてしまう。言語を駆使し、論理によってコミュニケーションをとるのではなく、記号や「連絡をとったという事実」に頼ってしまうようになった、つまり、サルも使っているコミュニケーション方法へと変化してしまったぞ、と警鐘を鳴らしている。

 確かに、メールや携帯では論理を駆使すると「読んでもらえない」という結果になる。それは経験則として私も知っている。ならば、説明がおっくうになり、人にあうのも面倒になる。だから、何も言わないでもわかってくれるヤツとだけ話せばいいや。そういう方向に若い人が流れていくことは推測できる。まぁ、みんながみんなそうではないでしょうけど。

 では、「そうなんだ」と知った後で、どうしたらいいか? 携帯を消し去ることはできないし、ネット社会を自由に方向づけすることもむずかしい。だいたいにおいて、社会を思うように方向づけできたことなど歴史を振り返ってもあまりなかったような気がする。ただできそうなことは、そういう社会になるということを知っておき、先手が打てることはなにかと探すことぐらいかもしれない。

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