近藤誠
文春文庫 486円
お勧め指数 □□□□□ (5)
医療業界もペテン氏の集まりだとうことがよくわかった。なんでまた、人間を食い物にする集団が後を絶たないんだろうか。近藤さんという著者に会えて、命拾いした感がある。
ガン検診には意味がない。肺ガン、胃ガンの検診は実質効果がないことが世界レベルでは既知であり、大腸ガン、子宮ガン、乳がんもその検診の有効性は見いだされていない。それなりに、なぜ国を挙げて実施されているのかといえば、データのいんちきな解析・解釈であり、その結果生じる検診産業の飯のたになるからだ。要するに、社会にいる人をかたっぱしから百害いあって一利無しという検診装置にぶち込んで、どうでもいいような「がんもどき」を発見し、治療と称した切った貼ったを行い、検査費、治療を稼ぎ取る装置になっているのだ。そこには、人のためなど考えていない「偉い人」がいるわけで、それにリエゾンとして技師だの事務だの業者だのがぶら下がっているのだ。なんだかどこでも同じ構図なのだから、やり切れない。少なくとも、私は金輪際がん検診など受けることはないだろう。
がんの分類を単純に考える。(1)転移するがんは助からない、(2)転移しないがんは助かるかる公算が高い。(3)早く成長するがんと、ゆっくり成長するがんあり、ゆっくり成長するものはそもそも「寿命」までかかえても問題ない。早いものは当然症状がでてくるので、その段階で処置すればよい。問題は、転移するがんは検診で発見できるよりも小さいときに転移していまうので、検診には意味がないということだ。転移する前に発見すればいいというのが早期がんの発見を推奨する根拠で、じつのところそれは不可能に近い。とうことは、がん検診で見つかるのは、ゆっくり成長するがんであって、それは自覚症状がでてから処置をしないと、余計な手術で臓器を奪われ不幸への道をまっしぐらになってしまう。不条理なことに、余計なことをしておいても医者は「感謝せよ」といってがっぽり稼ぐことになる。まぁ、建設業界でも道路業界でも、根は同じ連中がやっているのだ。実に阿呆くさい。
なぜ、池田さんがこの本を紹介しているのかよくわかった。結局この本も、圧力がかかって絶版になってしまったようだ。社会というのは、人間を食い物にしている装置が至るところにあるようだ。
"一般的にいまや人間ドックをふくめ検診業務は、病院にとって、重要な収入源です。検診をすることによる収入があるばかりではなく、検診で発見した病気を治す過程でまたもうかる、という一石二鳥の構造があります。それがゆきすぎると、ささいな異常所見を協調して、病気や病人をつくりだすことにもなってしまいます。
それにしても、検診部門の構えだけは立派で、一般外来や病棟はうす汚い、という病院が多々あります。それは構えを立派にして、なんとか一般人をよびこんで病気を発見して病人に仕立て上げ、仕立て上げてしまえば逃げないから、きたいない外来や病棟に送り込んで収支を改善しようという、アリ地獄的発想が根底にあるのです。”
なんとか検診を受けさせよう(カモを沢山引き込もう)ということになる。
”ひどい話ですが、ひまなときには精検(精密検査)率を高め、忙しいときには精検率を下げている検診機関もあるといいます。
つまり、検診機関やそれと関係のある医療機関では、毎週何人かの検査受診者があることを予定しているのです。予定した数の精検受信がないと器械や技師があそんでしまうし、経営にもさしつかえあることになりますから、要精検と判断する率を調整して、精検受診者が絶えないようにしているのです。”
検診を受けたら必ず病気になる。異常なし、だと「保険料がおりない」から。
日本の社会は、じつに馬鹿馬鹿しい落とし穴が沢山ある。また、ひとつ生き残る知恵を得た感がある。まぁ、医者ったって、薬害エイズの悪党であった阿部という人や、そもそも、製薬会社の創立者は731の幹部だったということから、医療にも悪いヤツが多いのだろ。普通の職業人の集団である病院というものは存在できないものか。まったく、いやな世の中である。