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やがて消えゆく我が身なら

池田清彦
角川書店 1300円
お勧め指数 □□□□□ (5)

 身も蓋もないエッセイ集。他の本よりもマイルドなのは、掲載していた雑誌のトーンに合わせたためなのかもしれない。池田さんの主張は「全く自然」に感じるのは、根本的なところで似た価値観を持っているからかもしれない。もっとも、私は普通の人なので、比べることはおこがましいのだが。例えば、

"会社でイヤな役目を今年か来年引き受けなければならないとしよう。上司はきっとあなたにこう言うだろう。「どうせやらざるを得ないのだから、早くやってしまった方が精神的に楽だよ。それに、客観醸成からして、来年は今年より大変なのは確実だからね。」でもねぇ、と私は思う。会社今年の暮れまでに潰れてしまうかもしれないし、あなたも今年中にリストラされてしまうかもしれない。それいそのイヤな役目は会社の都合で今年限りで廃止になるかもしれないではないか。”

全くその通りである。あるいは、

”最悪なのは、子供はみんあキラキラしたすばらし才能をもっているという何の根拠もない予断の下に、すべての子は個性を発揮して輝くべきだ、といった愚にもつかない思い込みを子供に押し付けることだ。断言してもよいが、ほとんどの子は人並みの才能しか(すなわち何の才能も)もっていない。”

 人間の現実を直視し、現実の社会をマスコミの押し付けをはがしてみれば、そうとしか言い様がない。政治や社会に悪など存在しなくても、普通の人で構成した社会が「機能する」ことが軌跡な感じがする私には、子供だからといってなにか特別な存在のように扱う「物語」と「その物語のフリーク」には私もうんざりしている。実に池田さんの言っている意味がわかるのだ。

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