ザ・ゴール2
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エリヤフ・ゴールドラット ビジネス書を読む動機はなにか。目前に困ったことがある人が参考にする、ではない。それでは間に合わない。おそらく、困ったことが起きたときに対応できるような知識・行動様式を身に付け、その時点で活躍できるように準備する。社会人になってから、ひとから強要されずに本を読むのだから勉強の意味合いが強いはずである。しかし、ビジネス書というのは「ファンタジー」みたいなものや「床屋談義」、あるいは、「説教」のようなものが少なくない。サラリーマンの職種は多種多様であるから、全部に当てはまるような表現や教えは、どれもこれもつかみ所がなくなる。それが原因であろう。かといって、つまらない本がよい本だということにはならないのだが。トム・デ・マルコの「デッドライン」のような、小説形式の教えは成功するといかなる教科書よりも面白い。そして、そこで知ったことを元手に、専門書にわけいる勇気が持てることがある。本は読んでいる途中の面白さ、そして、読後に抱く自分の変化の認識具合で評価できる。小説だからということで、読まないのはもったない。 一連のゴールドラットの本は、まさに良質の教科書である。もともと、著者自身の理論であるTOCの考え方を普及させる起爆剤として小説を書いたのだから内容が的外れであるはずない。なるほど、TOCにはそんな内容も含まれているのか。論理的だけでなく、感情的にも納得できる。第2巻は、思考プロセスについてが主題である。困ったことが起きているときには、まず何をすればよいのか。いかなる分野にも適応できる具体的な行動をステップずつ解説している。問題を把握する、ということ一つとっても具体的な方法はないものだと思い込んでいたが、実は成功する考え方はちゃんと存在しているのだ。なんで、だれも教えてくれないのだろうかと不思議に思うのだが。問題を「2つの命題(あるいは要望)の衝突(コンフリクト)とみる」方法は、はっきりいっていかなる分野、日常の些細な口論や諍いにも適用できる。実際、この小説では子供との言い争いで実践してみせてくれている。「思考プロセス」を意識的に身に付けることは、楽しく生きるコツ、ということだ。 思考プロセスの内容は本書を読んでみればいい。この本では、その方法の結果として最後に議論される「会社」の存在意義についての議論がユニークに描かれている。まず、会社がうまくいっているときといっていないときがある。うまくいっていないときは、従業員を解雇するのが普通である。それを、この小説の主人公は全く愚かな行為だと断言している。これは、思考プロセスの結果から導き出される結論なのだ。会社が存続する必要条件とは何か。それを次のように定義する。
”必要条件を侵したら、目標は達成できないのだ。「必要条件」という意味はそういうことなのだ。” でも、会社の業績は変動する。うまくいかないとはレイオフしかないではないのでは?という問いに真っ向から反対する。最大の間違いは、人を仕事に「貼り付ける」ことになる。人はリソースなのだと考えれば、業績悪化に対応できる。それは、市場に適応すればよい、というのだ。 "もし、もっと儲けの大きいセグメントが現れたら、会社は儲けの少ないセグメントからこのセグメントに乗り換える。リソースが柔軟だから、それができるんだよ。セグメントが悪化したら、別のセグメントへ標準を移す。だから、セグメントを最初からすべて独り占めしてはいけないんだよ。" 変わるものは変わる。伸びたらかならず減少する。こんな状況に見舞われる可能性があるものには、リソースの柔軟性からくる対応方法は有効である。会社活動にかかわらず、個人の生き方にもつかえる。 思考プロセスをつかって、上記命題を導きだす様子がこの小説で体験できる。理論や知識を知っていないと手も足も出ない、ダメなミステリーのような筋ではない。だれでも出来そうなことをステップを踏んで導き出す。ならばこの方法が、私がかかえている問題に適応でいないことはないだろう。そう思え、そして行動するように導く良書である。読めて運がよかった。
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