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旧約聖書を美術で読む

秦剛平
青土社 2400円
お勧め指数 □□□□□ (5)

 あれ、この間新刊がでたばかりなのに、また出ている。しかも美術のコーナーに。手に取ってみると、また「挑発的講義」と帯に書いてある。早速購入。

 旧約聖書のトピックスを有名な絵画をつかってお話してくれる。絵画といっても「何を表現している」とかそういう知識を授ける系のものではなく、トピックの挿し絵として使っているだけ。要するに、旧約の話だと思って間違いない。ただし、そこは秦先生、有り難い話とか聖なる話とか大切な教訓なんかを見いだすのではなく、古代の娯楽もなにもない時代の「民話」として旧約を説明してくれる。最近出版される秦さんの本は、だんだん「ぶっちゃけ」トークが強くなり、いつか消されそうな気がするので心配なのだが。

 ふざけた意味ではなく、旧約は本当に「民話集」なんだということが分かります。なぜそれが「聖なる」ものに転化するのか、なぜそれが「道徳」の規律本(教訓を分かりやすくした本)になるのか、まったくもって不思議です。しかも、内容は冷静に考えるとエロい。紀元前なのですから、人の娯楽なってなかった。お話が娯楽だった。だったら、この類の民話が普通大切にされます。だって、他にないんですから。七十人訳でもなんでもいいですが、文章通りよむと放送禁止になっちゃう内容です。どうやって、この話で説教のタネ本にするのか不思議ですね。

 ヨーロッパ文明の基幹をなす資料です。その基幹について、かれらは深く問わないで生きてきた(あるいは目を背けてきた)ことがよく分かります。なるほど、ダ・ビンチならば馬鹿馬鹿しくなるでしょうね。そう思って、ダ・ビンチの絵なり発明なりを見ていくと、なんとなく驚嘆と同時に同情したい気分になれます。

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