« クリティカル・チェーン | メイン | 文学賞メッタ斬り 受賞作はありません編 »

チェンジ・ザ・ルール

エリヤフ・ゴールドラット
ダイヤモンド社 1600円
お勧め指数 □□□□□ (5)

 メッセージがはっきりしている。

”{新しいテクノロジーが価値をもたらすのはどういう時かな?」スコットが訪ねた。「新しいテクノロジーがメリットをもたらすのは、新しいテクノロジーを用いてこれまでできなかったことができるようになった時、つまり既存の限界を超えることができた時だ。単純な常識だよ。」”

”それまでそこに限界が存在してきたことを意味する。その限界と長い間、共存してきたということだよ。どうやって共存してきたかだが、わかるかい。限界の存在を認識したら、それに合わせて習慣、評価尺度、ルールを作ってきたはずだ。」”

”新しいテクノロジーをインストールして、そのメリットを享受するには、それまでの限界を前提にしたルールも変えなければいけない。常識だよ。”

 著者の考えのコアを登場人物が重要なシーンで口にさえる。劇的な演出であり、また、よいアイディアを授業で聞いたときより印象深くすり込まれる。これ以上のことは体験するしかないであろう。そう、TOCという理論を機能させるERPとうコンピュータシステムをダシにして、組織の活動の問題についての一解法を提示している本なのだ。小説という方法は授業よりは効果がある。

 人間はなにかと適応する。困ったことがあっても、イヤなことがあってもずっとそれが存在しつづけるならば「認識」できないようにしてしまう。あるのだけ、気がつかないようにしてしまうのだ。組織内の問題も同じ。大きな問題であっても、ずっと一緒にいて、それが当たり前だとすると「注意が向かなくなる」のだ。空気のようなものになる。そこに、その問題の根源にメスを入れ、問題でなくなるような処置を新技術によって行ったとしても、人の行動はかわらない。そして、それに気付かない。外部の人が注意しても、そんなのは大切なことではないとされ無視される。

 では、どうすればよいか。答えは冒頭の引用にある。問題がなくなったら、人間の認識、これまで普通とされていた生き方やり方(つまり、ルール)を変える必要がある。とくに、何を善とするのかという価値についても変更しなければ。ただし、そんなに簡単にいくわけないじゃないか。

 そもそも論。なぜ、皆さんは自分の作業の効率を上げようとするのだろうか。プロセス全体から考えると、各自が最善の努力を目の前の仕事にすれば、全体も良くなると考える。それはなぜなのか。この小説に、解答があった。


”こうした限界がある中では、組織ができることにも限りがある。それぞれの部門、部署、ワークセンターごとに、自分の目の届く範囲で最善を尽くす。それ以外に方法はない。要は、部分最適化をベースにしたマネジメントをせざるを得ないということだ。”

 そうだよな。いままでは「仕方なかった」というわけだ。パレート則やオッカムのかみそりという考え方は、TOCの前では色あせますね。

トラックバック

このエントリーのトラックバックURL:
http://www.significa.jp/scienza/BlogMgrMt/mt-tb.cgi/418

コメントを投稿

(いままで、ここでコメントしたことがないときは、コメントを表示する前にこのブログのオーナーの承認が必要になることがあります。承認されるまではコメントは表示されません。そのときはしばらく待ってください。)