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名もなき孤児たちの墓

中原昌也
新潮社 1500円
お勧め指数 □■■■■ (1)

 先日読んだ『文学賞メッタ斬り』にも評価が高かった本だけど、私はよいとは思わなかった。良くないでも、普通でもない。ちょっとぱっとしない、でも好きな人が結構いるのだろう、でもない。ダメであり、損したという評価である。不愉快になった、腹が立ったということはない。無害だけでも何がいいのかさっぱりであった。

 言ってみれば「現代美術」のような感じがする。抽象画には意味はないが、雰囲気はある。そもそも好きな色というものが存在するし、模様にも感じが良い悪いはある。一方、便器がおいてありこれがアートだというような物は、詐欺と紙一重である。構成すら放棄して全くコストがかかっていないものを「大切にするべき価値がある」と主張されても困る。素人だから仕方ないと言われても、裸の大様ではないのだから、感じたことを評価するよりない。そして、この本も私にはそれと同じにしか見えないのだ。

 しかし、野間文芸新人賞をとっているし、芥川賞の候補にもなっている。そして、わたしも尊敬する書評ができる人たちが推しているのだから、きっと良い本なのだろう。であるはずだ。しかし、私は価値を感じなかった。私にはこの良さがわかるまで掛かるであろう時間がもったいない。別の本が山ほどあるのだし。小説という形式が好きな人はこういう「だらだら煩い言葉の垂れ流し」に価値を見出すのだろう。これまで普通に本好きなのだろうと思っていたが勘違いだったのかもしれない。普通に小説の中身が好きだったのだ。この本を読んでみてはっきりした。

 自分が全く理解できないことが平然と転がっている。当たり前なのだが、それに気がついた。ただし、不愉快な気分にはならない。冒険したい人は読んでみてもよい。ただし、まずは書店で立ち読みしてからのほうがよいだろう。

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