毎月新聞
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佐藤雅彦 ちょっとした視点の違いと受け取った内容を表現する方法のズレが読者をクスッと笑わせ、ナルホドと感心させる。スマートな内容だけど説教臭くない。こういう形式がエッセイの形の一つの完成形であろう。メッセージがあり、簡単な図がある。メッセージは絵ではないので必要以上にこだわらない。この本では「新聞」という形式を採用している。それが、もっとも優れたメッセージ伝達方法の一つであると判断したからだろう。
読み始めたら止まらなかった。挿し絵や3コマ漫画の絵がかわいい。なごむ。「だんご3兄弟」や「バザールでござーる」のCM、「ピタゴラスイッチ」という番組を作ってきた人だから当然であろうが、かわいいイラストを描けるのは偉大な才能だと実感する。文章は数タイプある。「〜いる、〜ある」という平易な記述、「〜です、〜ます」という語り。「〜である」もある。何を基準に使い分けているのか分からない。主張内容もそんなに複雑なものではなく世間的なものなので、高尚な読書の結果からの結論なのかもしれない。しかし、それらをネタに友人たちと世間話をすれば「それ、あるある」と同意をとれると思う。愚痴にならない世相批判がこの本にある。 なぜ、こんなコラムが書けるのだろうか。それは、作者が文章だけでなく、挿し絵もいれていることにある。かわいい絵はすべて子供か動物なので大抵の人に受け入れられる。文章の後味はこれらイラストによって決まってしまうようである。内容が時事問題であっても、物事の新しい見方、街で見つけた面白いこと、どれでもあってもほほ笑ましく思えてしまう。 この本の「情報の力関係」というトピックにそのヒントがある。次のような表示を見たとき、何を考えるだろうか。この本から引用してみる。
矢印と言葉は反対のことを意味しているが、最後は矢印が勝つ。分かりやすいビジュアルが勝ってしまう。最後の印象、感じはビジュアルが決めてしまう。ならば、同じことがこの本にも言えるかもしれない。挿し絵が記事の後味を決めてしまうことになる。 この本は、短いエッセイの書き方を模索している人にはいろんな意味で参考になる。 |