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地球を斬る

佐藤優
角川学芸出版 1600円
お勧め指数 □□□■■ (3)

 一つの記事が2ページに展開されている新聞連載を集めたもの。きちんとした背景説明や論理展開のスペースがないため外交評論になっている。鋭い「見立て」が展開されていない。読み切り記事の良さと悪さが同居しているエッセイである。

 このような新聞記事は役所には影響力をもつ。NHKのニュースや特番や新聞記事に役所の人間は敏感に対応する。市民団体の抗議など屁と思わない人たちであろうがマスコミには弱い。その修正を逆手にとって佐藤優がいろいろ提言している。ただ、偉い人は基本的に人の言う事は聞かない。社会がどうなろうとも自分のメンツを優先させる。だから、この本での提言は採用される見込みはないような気がする。

 野球解説者と同様、そういう評論は観客ではなく先週に言ってくれ、と突っ込みたくなる。評論家の提言を選手がどう思うのかは知らないが、多分採用されないだろう。無視するか反対のことをする。おそらく、この本の記事に展開されている日本外交への提言もそれと同じ扱いになるだろう。それに、細かい戦術を新聞などのメディアにのせたら「バレバレ」の戦術になってしまうので、そもそも外交に使えない。よい働きをしたとみられる役人にエールを送ったりしている。部下から褒められるよりも上司から褒められるのを望む人たちが、評論家の称賛をどう思うのだろうか。佐藤優はそんなことを百も承知で書いているはずだから、本人の狙いは別のところにあるのかもしれない。

 読者にサラリーマンやビジネスマンを想定している。彼らが外交について知ったとしても戦力にはならない。ただし、くだらない床屋談義をしなくなるかもしれない。佐藤優の狙いはそちらの方にあるのかもしれないが、本当のところは分からない。

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