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生物と無生物のあいだ

福岡伸一
講談社現代新書 740円
お勧め指数 □□□■■ (3)

 生命科学の本でやけに評判がよいし、丸善本店で百冊レベルでの平積みになっていたので購入した。以前出版されれた狂牛病についての本『もう牛を食べても安心か』は興味深かったので、きっとよい本なのだろうという期待があった。
 著者のちょっとした(研究についての)自伝的な本のようで、科学的な解説を盛り込んで一般の筋を通している。DNA発見のエピソードや著者の研究分野でのメルクマークとなる成果をだした研究者を紹介することで、著者の研究の立ち位置を専門外の普通の人に興味を持って知ってもらえるような配慮がある。このような配慮は「教えてやる」というニュアンスでは逆に拒否されるのだが、さすがに著者はそのあたりを理解しているようで、自然に反発なく読めてしまった。
 ただし、生命とは何かということに正面から答えていない。300ページ弱で紹介するのはそもそも無理だからどんな視点で結論付けるのかが興味の対象になる。シュレーディンガーの『生命とは何か―物理的にみた生細胞』に触れておくことで前提条件を与えておくが、その拡張としてのアイディアを表明していない。つまり、生命とは〜のことだとは言わない。生命は人が操作できないものだ、といような生命の属性を述べるにとどまっている。ただし、この言葉は著者の経験と長い研究成果(それも、一流のグループでの結果)を踏まえた上での感想なので、たぶんそうなのだろう。
 生命とは〜のことだ、という記述を期待するのは無理なのかもしれない。生命は〜の性質をもつ、とか、生命は〜ができる(あるいはできない)という結論しか言葉では表せないのかなと素朴な感想になる。

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