最初は中心なしの組織構成についての本だろうと思った。ヘッドとなるヒトがいないのに、なぜか組織がだすようなアウトプットを出力する集団は結構目につくからだ。
ただし、社会学の本か、自然科学の本は、ビジネスの本かで着眼点が違うはずだが、購入前はよくわからなかった。
結果からいうと、この本は自然科学的な現象の説明を試みたあと、ビジネス本へと転化しようして完全にはできなかった感がある。ちょっと宙ぶらりんの読後感だが、内容はわるくない。途中話を膨らませすぎのところがあるので、そういう部分をはしょると本人の主張が分かりやすくでると思う。
この本で気に入ったところは何点かある。
・社会には中心(リーダー)がいないにもかかわらず、集団として結果を出す人たちがある。その人たちは、中心をもつ通常の集団との争いで勝つことがある。
→ 支配者と奴隷たちとう構図以外にも、人々が集団としてまつまる方法があるのかと興味をもつ。アパッチ族の実例やデジタル音楽ファイルの交換などを例に、そういう組織の耐性について説明があり、実感しやすい。
・リーダーがない集団にリーダーはいないが、触媒となるヒトとイデオロギーは存在する。
→ 共通の価値観を持っており、その場その場で具体的な行動を率先して行う触媒格のヒトがいて、あとの人はその人の行動を真似るという構図である。逆に言えば、この要素がそろえばどのような集団もヒトデになれる。
・リーダーがない集団では、情報は至るところに存在する。情報が整理されていないかわりに、断片的なものは誰でも入手できるし、場所も特定されないでいろいろなところに転がっている。
→ 行動を起こすときには情報が必要。ヒトデタイプでは集団のメンバ個人個人が自主的に行動するので、情報はだれでも入手できるようにばらまかれている必要がある。行動の目的はイデオロギーとして共有されている。
・リーダがない集団が崩壊するのは、その集団に外部からエネルギーを注入されたときである。
→ 外部から資源という形(エネルギーやお金、土地などなんでもよい)がその集団に注入されると、注入ポイントの近くにいる人が「分配」を担うことになる。一人で独占するか、他の誰かに分配することになる資源はその集団のなかで「流れ」を形成する。流れは「幹」と「枝」に分岐していき、末端まで伝わる。もちりん、全員に伝わることはない。この流れに関わる部分が「派閥」になり、幹に近いヒトほど「支配権」が発生する。こうなると、ヒトデ組織ではなくなる。
ヒトデかた組織についての記述は聞いたことがある。その原理も生態も所見ではない。しかし、崩壊する理由については初めて知ったし、それで納得した。
集団が壊れる流は外部からエネルギーが入り込むことだ。もし、集団がその内部から出力を生成するだけだならば、利権は発生しえない。自分たちでつくったものだから。
これは、教訓になる。なんでもそうだが、外部からのエネルギー注入には気をつけること。それは想像性をなくすし、集団を分解するからだ。