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言霊 (2)

井沢元彦
詳伝社黄金文庫 505円
お勧め指数 □□□□■ (4)

 カエサルの言葉に次のようなものがある。

人間ならば誰にでも、現実のすべてが見えるわけではない。 多くの人は、見たいと欲する現実しか見ていない。

 でも、日本人が「見たくないものを見ないし語らないし、ましてや考えることもしない」という態度をとっても、それは人はそういうものなんだから仕方ない。そう思ってきた。
 しかし、言霊という補助線をいれると、すこし別の景色が見えてくる。

 ところが、日本人はまずその危険の想定というところで引っかかる。いうまでもなく言霊の世界では、言えば起こるわけだから、危険を想定するということは、言霊の世界の感覚では、それが起こることを望んでいるということになってしまう。あるいはその実現を祈るということになってしまう。  だからこそ、日本人はまずこれを嫌い、自分が口にすることも、他人がそれを口にするようなことも嫌うようになる。そしてあまつさえ、社会的圧力をかけ、その発言を弾圧するということにもなる。

 言葉を封じることで、無かったことになる。だれも口にしなければなくなる。憲法9条問題の根拠もそこにあるのだと分かれば、その問題を解決するには日本人全体のもつ「言霊」に関する認識を変える必要があり、多分無理なんだろうということまで予想がつく。

 ここで絶望するかと言われればそうではないとこたえる。日本人全体はかわらないだろうけど、言霊の作用をしった自分については返ることができる。また、言霊の作用に気付いていない人のとる行動も高い確率で予測できる。そういう人たちの中で、工夫して生きていくにはよい知識をもらったと思う。

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