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新約聖書を美術で読む

秦剛平
青土社 2400円
お勧め指数 □□□□■ (4)

 秦先生のキリスト教についての話は目からうろこばかり。キリスト教に対して抱いていた疑問や違和感を払拭してくれる、しかも、すべて「合理的な」説明によって。これがキリスト教ではなくイスラム教ならば一発で暗殺されているような内容ばかり。
 だから、秦先生の本では私はタブーを恐れない合理性を垣間見る思いがするし、おかしな人間をヤってつけてくれた爽快感までも感じることができる。

 昔の西洋絵画の題材はキリスト教に関係するものが多い。キリスト教といっても、その精神や考え方ではなく、福音書の「物語」の場面を絵にしたものばかり。
 印象派などの近代の絵画とちがい、それらを絵を見て、楽しむためには「前提知識」を持っている必要がある。知識を前提にして絵画をみるという方向。
 ところがこの本は、絵画の場面を説明して、それに関してのキリスト教側の物語とそのおかしな意味付けなどを講義している。

 キリスト教の信者なければその手の海外を楽しめないということはないだろう。何を表現しているのか、場面設定とその意味を共有することができれば、その教義の部分は無視して表現の工夫や結果の善し悪しを楽しむことができるだろう。少なくとも、自分はそう思っている。

 秦先生の本はキリスト教と関係ない人が読むとよい。その宗教の本質を理解できれば、「なんでまたそのような考え方が出てきたのか」について考える機会を得ることができるし、その結果、その宗教を完全に相対化することができて、その宗教についての無知からくる違和感を感じなくてすむだろうから。

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