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モノづくり幻想が日本経済をダメにする

野口悠紀雄
ダイヤモンド社 1600円
お勧め指数 □□■■■ (2)

 理想的に機能している株式市場では、公開されている情報はすべて現在の株価に織り込まれていまっている。だから、将来の株価は、現在は知られていない情報、あるいは現在は公開されていない情報のみによって変動する。
 このため将来の株価を予測することはできず、株式市場で利益を得られるかどうかは、偶然のみによって左右される。ファイナンス理論を勉強すれば、ムダな損失を避けることは出来るが、継続的に巨額の利益を上げることはできないのである。

 これは、著者が大学院のファイナンス基礎論の講義で強調しているないようである。まったくもって、インパクトがある言葉である。

 そして、これが正しいとすれば、村上ファンドはおかしいということになる。素人の私にも「ナルホド」と納得できる説明である。こういうことを堂々と主張する「経済新聞」があってもいいような気がするが、経済の人にそんなことを期待するのは原理的に無理なのだということか。

 この村上ファンドの出資者には日銀総裁もいたということだ。私など「有名人同士だから、うまい話ネットワークがあるんだろうな」程度に考えていたが。しかし、話はそれだけですまない。日銀総裁が出資したということはもっと憂鬱な結論が待っている。

 こう考えてくると、村上ファンドに出資した理由は、論理的に一つしかありえない。それは、「村上ファンドがインサイダ取引などの不正行為を行うと期待していた」ということだ。
 不正行為を行えば、市場の平均利回りを継続的に越える収益を上げることは可能である。しかし、自分で不正行為に手を染めることはできない。ファンドなら投資者の名が明らかになることはないから、安全だ。「だから出資した」というのは、(倫理的な問題は残るにしても)合理的なものである。

 金融財政のトップがそれだから、下っ端の人がちゃんとルールを守るはずもないだろう。ここから普通の人への助言があるとすれば、こうなる。

 そして、ここから導かれる論理的な結論は、じつに重大だ。そうした出資機会を得られるのはごく一部の人たちであることを考えれば、「一般の人びとは株式投資などするべきでない」と結論せざるをえないからだ。

 先生、おっしゃることがよく分かりました。ありがとうございました(深々と頭を下げる)。

 優れた投資方法を知っている人がそれを他人に教えるはずはない

 
 今回の超整理日記は、これ関係のエッセイが際立っていた。私はこの本のタイトルに興味を持って買ったのだけど、それに関する内容は「アイルランドの金融センター」についてなど、5,6年前に大前研一が盛んに紹介してくれていたことだけであった。

 だけどね。日本はモノを作ってなんぼですよ。金融センターだってあってもいい。どうせ、それをやる人とモノを作る人ととは本質的に違うタイプの人が必要ですから、どっちに人が流れてもよいでしょうけどね。

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