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ウェブ時代をゆく

梅田望夫
ちくま新書 777円
お勧め指数 □□□□■ (4)

 梅田さんのメッセージはシンプルである。

 ネット上にできた「学習の高速道路」は、リアル世界での物理的な「距離」ゆえのハンディをなくしてしまった。「対象をどれだけ好きなのか」「対象にどれだけ没頭できるのか」という実にシンプルな競争原理が誰の前にも敷かれ、やる気のある人ならどこまでも伸びていける自由な環境が生まれたのである。

 確かにそうで、今の若者もそれを目指す人がたくさんいるという仮定で話をすすめている。が、しかし。梅田さんは普通の大学生なり若者なりをどこまで認識しているのだろうか。30代後半から40代の世代ならば、梅田さんの抱く若者像に期待することが出来るだろう。しかし、だ。実際には現在においての普通の大学はまったく大学として機能していないに近いし、そもそも、「ふつうの学生」を探すのはかなり厳しい状態になりつつある。そんななかで、前向きに勉強して夢をつかもう、という全うな考えをもちえる人は絶滅危惧種なのではないか。もっといえば、そんな日本人の若者、どこにいるんだ?

 そんな悲観的な。私もそう思いたい。実際この本を購入して感銘を受けている世代って、どの世代なんだろうか?30代ではないのだろうか。確かに一部の大学の一部のグループには期待できるひとがいる。しかし、大学自体が「Winner takes all」になってしまいつつあるので、ほとんどの、90%以上の大学ではこの本が対象とする若者は存在しないんじゃないか。なんとも、もったいない話である。もう、20年まえにネットが今のようになっており、梅田さんの本がでていれば、違う日本になったかもしれない。いかんせん、登場するには時期が遅すぎた。

 そう考えると、このメッセージは日本よりも韓国や中国などのこれからの国へのメッセージとして適しているだろう。だから、この本は日本よりもそっちの国のほうがよっぽど有効だろうなと思う。