昭和のロケット屋さん
トークショーとして人気がある「ロケット祭り」において話されたロケット開発史の裏話をまとめた一冊。公式とまではいわないけどだいたいにおいて「誰々が何時何時なにをした」というような記録は結構間違っている類の話である。 糸川という独特のキャラをもつ立派な先生の言動は、長嶋茂雄の言動のように「都市伝説」と化しているものがある。なんでもできるスーパースターというものに普通の人は興味と憧れと恐れをもつ。でも、実際は「そんな分けはない。実際にやったのはオレだ」という現場の人の証言がでてきて、歴史がひっくり返る。まぁ、そういう話である。 宇宙が好きな人や職人信仰を持っている人には「実は現場の職人が全部やっていたのだ」というような話は通りやすいし、実際問題、彼らが大きな力になったことは正しいだろう。考えているだけではモノはできないのだから。これまで、ある意味光が当たっていなかった人がスポットライトがあたるわけでだから、どろどろした悔しさのようなものが「実は全部おれがやったんだよ」的な話になるのは当然である。しかも、長生きしたのだから、それを修正する仲間はもういないのだし。 ただしである。多分その人の言っていることも「脚色」があるはずなのだ。記憶は適当に変更されるし、記録があっても解釈次第のところがある。例えその人がいい人であれ、恨みの構図があるものは話半分としたほうがいいだろう。もっとも、作家はそんなことを考慮しないだろうけど。 この本で一番注目した点は、誰が実際に設計し製造しているのか、である。大学の先生は「企画」であって、設計、製造はメーカーさんなんですね。考えてみれば、そりゃそうだ、なんですけど。 |
