国家の品格
このベストセラーには賛否両論つきまといっていた。ぼくよりも5歳くらい若い身近な人が「数ページ読んでいてむかむかしてやめた」ということを言っていた。アマゾンの書評にもえらい評判が悪かった。「これからの日本に必要なのは情緒だって、バカじゃない」というような言い分だった。「若き数学者のアメリカ」など昔のエッセイはずいぶんと読んでいたので、年を取ってから発想が変わったのかな?」と思い、また、ベストセラーだったので読まないでいた。ところが、ブックオフに100円でていたので買ってみた。読んでみたのだが、どこも悪くないので拍子抜けをした。 なぜ、気にくわない人が多いのか。ぼくが感想を聞いた人はすごい優秀な人だから、「年功序列にするべきである」というようなところが気に触ったのか、論理よりも情緒を大切にするべきだというところに腹を立てたのか、たぶんそういうことだろうと思う。 この本で言いたいことは割りと単純で、「論理的志向が正解にたどり着けるなんてのはウソで、そもそも公理は外から与えられるものであるし、さらり数学でいえばゲーデルの証明にあったようにそもそも論理をつきつめていくと論理で考えていたことが矛盾するという事実もある。結局、人の集団にとっての長期的な生き残り戦略は歴史的な作業で身に付けてきた「品格」だし、それを良いものだとする価値観は情緒の感度を与えるものなのだ。グローバルスタンダードなんて所詮はアメリカのローカルスタンダードだから後生大事に祭り上げる必要などなく、そもそも日本には部指導的な精神からなる品というものが明治期にはあったのだから、それを学び直せばいい。」ということだろうと思う。ぼくはそう解釈した。 この本は講演内容を文字におこしたものだ。内容に「冗談」も入っているが、活字の仕方が直接すぎるので、ひょっとしたら「冗談をまともにうけとったことで立った」という人もいるのかもしれない。それでもだ。ぼくはこの本は普通にいい本だと思う。 |
