異郷からの手紙
ゆたかさとはなにか。生きるとはなにか。精神とはなにか。そして、わたしたちとは何か。こういう誰でも感じる哲学的な疑問について、旅をとおして考える小説。いわゆる結論はないのだけど、森本哲郎の本が好きな人ならば楽しく読めます。自分探しという、矮小化されたテーマとはちがう。いわゆる、今をリセットするための行動ではなく、数千年つづく、というか人がいる間つづく普遍的なテーマを追っている本ですが、ごく普通の人が出来そうもないたびを仮想的に体験することで、読み終わった後、ため息をつき、久しぶりに日本に帰ってきた気分がしてくる。森本「本」とでもいうジャンルなんでしょう。 この本は確か文庫本にもなっているはず、入手しやすいはず。ぼくは神保町のガレージセールで3冊500円で買いましたが。テーマがテーマだけに、現代の人が読んでも言い本だといえるものだと思います。ただし、世界情勢は少しずつ変わっているので、バクダットのホテルに普通に泊まったりするところが時代を感じさせはするのだけど。 森本哲郎の旅はヨーロッパではなく、インド・中東・ギリシャなど古代文明があったところが多い。そして、かならず修業するくだりがある。老師がでてくる。よくわからない言葉が、修業していくうちに体感できるようになる。そういう構造があるのだけど、それはその当時の型だったのだろうか。ぼくはよく知らないピッピーのいた時代の話には、どうもピンと来ない。そして、本でも求めているものが悟りの境地であるところが、ピッピーと似ていなくもない。このあたりも時代を感じさせるので、余り多く本が現在では流通していない理由なのかもしれない。 |