インド夜想曲
須賀敦子の翻訳を読みたいと思って購入し、一読。「ある家族の会話」のような、複雑な感じがする小説を覚悟していたので、この本のすこしライトな感じが驚きとともに清々しく感じた。そうだな、南の島の夕方に少し涼しい風を頬にうけて濃紺の空を見上げたときのような感じ、といったらいい過ぎだろうか。(そういう比喩は得意ではないのでご勘弁を) さて、小説といっていい。結局、ミステリーが開いておわるような感があるが、それでも本書の旅の感覚は普通のミステリーでは味わえないものがある。なんだろか。一般性がない例えかもしれないけど、森本哲郎の旅のような感じがしつつ、そこまで哲学的になり切れなかった、という位置づけがぼくにはしっくりくる。インドについてよく知っているかもしれなけど、その背景にあることへの哲学までは扱えなかった。だから、目で見るものを追うし、西洋とはちがう貧民国の生活を描くことで話にコントラストをつけているだけで、その背後にあるものまでたどり着けなかった。そういう感じである。 キリスト教徒でないとしても、価値を評価するときの西洋人の基準がぼくの基準とは全く別で、なんだか「よくわかってねぇなぁ」と言いたくなる気がするものだと知った。だから、主人公が何かを言っているようで、なんだかうすいなぁ、とも思ってしまう。 いや、そんな話はどうでもいいか。須賀敦子の翻訳はどうだったのか。外来語でいまと違うものが2,3あったが、それ以外は気にならなかった。というか、綺麗なものだったといいたくても、描写の対象がインドの普通の人の生活だから、いわゆる「綺麗な」ものになりようがないので、なんともよくわからなかった。読みかけの全集にもどるか。 |
