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人間へのはるかな旅

森本哲郎
潮出版社 650円
お勧め指数 □□□□■ (4)

 1970年の日本にて。高度経済成長とう加速期間の後半にさしかった時期に著者が考え込んだ「現代の日本はどこかおかしい」というテーマをもとに、イラクのバクダット、モロッコのカサブランカで現地の人から長老と呼ばれている日本人に教えを請いに旅に出かけるという実体験?をもとにしたフィクションのような小説のような実に不思議な哲学書である。まぁ、いわゆる森本本。こういう本を今書ける人はいないだろうと思う。なぜなら、著者が感動したような砂漠やイスラム諸国は紛争地帯だから、ちょっと旅してくる、ということができないから。

 サブタイトルにある「現代問題集」の通り、1970年の時点で社会問題となったものを森本哲郎が思索する。しかし、その時代の定番である学園紛争よりも、現在でも問題となり続けているテーマが中心である。それは、情報化社会だったり価値の多様性だったり、世代間の断絶だったりと、今朝の新聞を探せば色々な関連記事が見つかるようなことだ。ただし、この本では、そのフレーズが初めて世の中に紹介されたときなので今感じる当たり前感はなく、「そんな問題があるらしい」というスタンスでいる。ちょっと時代を感じるところだ。「狭い地域で同じような境遇で同じような教育を受けて同じような仕事している人が、みんな別々のことを考え、ばらばらの価値観をもつようになってしまうなんて!」ということを主人公である森本哲郎が信じられないという気分で驚いている。今ならば「当たり前」なことなのだが。

 この本の出版から37年たっている。しかし、本書であげられたどの問題も「未だに問題」であってどれ一つ解けなかったようである。いまは、子供にやたら危ない種族がでてきたので、事態は悪化する一方なのかもしれない。これはなにも政治が悪いからでも役所が悪いからでもないだろう。日本人って、変化することは得意なんだけど、哲学することは不得意であって、歴史から学ぶこともできないからのだろうかと思う。

 社会に問題があるのではなく、人に問題があるのだ。そして人は変わらないならば、問題はずっと同じものであるはずだ。そういう言葉を読むんでナルホドと思う。今、全国ネットてTV放送しているゴールデン番組で前世を語っているものであり、占星術士の本がベストセラーだったりする。教育と感情とはリンクしんていないのか、現代人ってホントに現代人なのか疑問に思う人結構いるのではないか。社会の圧倒的多数の人は、まぁ、自分も含めて数千年変わっていないのだろうなと思う。

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