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HACKERS & PAINTERS

PAUL GRAHAM
O'REILLY 2223円
お勧め指数 □□□□■ (4)

 何気に気になっていた本を読んだのだが、いつもとちがうのは原著にしたところ。英語の本を一冊丸ごと読んだ経験は1冊しかない。論文といった10ページ程度のものか、ぶ厚い教科書で該当する章を読むことがあるが、時間がかかってしかたないので敬遠していた。しかし、ぼくも人生を折り返しているし、今そういう経験を積んでおかないと今まで以上に面白い本との出会いを広げていく道が閉ざされるような気がして、これからは例え時間がかかっても英語の本を読むことにした。ただし、気合いが現実に反映されるわけでもなく、200ページのこの本を読むのに、通勤の往復を2週間もつかってしまった。通常ならば5−8冊くらいの本を読めていたはずだから、本の出会いとしては1/5〜1/8になったことになるが、何をやるにしても最初はそういう非効率なもんだろうと納得している。

 プログラムとプログラマーについて語れたエッセイで、読みごたえがあった。高邁な信念を語るのではなく、本音ベースの「だって、そうでしょ?」というプログラマーの視点での発言で、そういう風に考えるのかと勉強することが多かった。少なくとも、他人をバカにする見下すことしかしないプログラマーやデザイナーのような発言がなく、すご腕の人だってぼくにもわかるような美学や動機から行動しているのだと知ってほっとした。

 著者はプログラマーであり、社会で多くの人に使われているシステムをベンチャーとして成功させた人である。一方で、芸術というか美しさとは何かについてもちゃんとした哲学を持っている。パソコンスペック競争やアイドル好きの特質を伴う人とは違って、ぼくは尊敬の念を抱く。こういう人、日本のシーンのなかでもたくさんいるのだろうと思って、もっと活躍してくれないかなと思っている。

At an art school where I once studied, the students wanted most of all to develop a personal style. But if you just try to make good things, you'll inevitably do it in a distinctive way, just as each person walks in distinctive way. Michelangelo was not trying to paint like Michelangelo. He was just trying to paint well: he couldn't help painting like Michelangelo.

 そうだよね、まったく。技術なり知識なりを動員して良いものを作るということに力を尽くすと自然にその人なりの方法になっていくだろう。なにも、自分なりの方法を探すことが芸術をするもくてきではない。なんでそんな「自意識過剰」な活動が人を感動させるのだろうと考える人が多いのだろうか。こういう内容って、その活動の意味する先を目的に活動している人が言えることで、だからこそこの人が語るプログラミングやプログラミング言語についての考えは信用できると思う。こういう、きちんとした感覚をもった人が、計算機好きの中にたくさん出て欲しいなと思う。

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