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猫と針

恩田陸
新潮社 1200円
お勧め指数 □□□□■ (4)
購入店 ブックオフ秋葉原

 恩田陸の小説は基本的に思索が中心である。主人公があれこれ考える、それが面白い。高校生が歩いているだけで『夜のピクニック』が成立するくらいなのだ。
 思索は言葉で行っているとはいえ、頭の中で進行していくもので本来他人からは見えないし共有されないものである。それを会話が補うことになる。恩田陸作品では、エピソードの中での行動はさしみのつまであって、本筋は主人公が置かれた環境下での思索が光っているのだとぼくは思っている。だから、映画にしたら大切なことろが全部抜けてしまうだろうし、実際抜けてしまっている。

 では、芝居にしたらどうなるのか。『チョコレート・コスモス』という(ぼくが思うに)最高傑作も主人公の思索が面白いのであって、あれを主人公の外側から見える行動や発言だけで表現したら実につまらないものになってしまうだろうと予想する。となると、この芝居も恩田色をもった作品にしたら何かが抜けてしまうのではないかと思った。ただ、こういう公演はチケットがとれないだろうから、結果的にどうなったのかはわからないままだったのだけど。

 この本を本で見て恩田色があったのでちょっと驚いた。まぁ、短い作品だけど芝居にする以上しかたがない。それに、登場人物がカタカナだったので、発言がだれがだれやらこんがらがってしまったところもある。芝居ならばそうならないのだろうけど。
 で、どうかといわれれば、良いと答える。よいのだけど、もう一踏ん張りなんじゃないかという気もする。恩田作品の結構なものは最後までテンションがもたんかったのかなぁ、というモノがあるから、この作品はそうではなく良かったと思う。
 月並みな感想だが、芝居を見たかった。DVDじゃ、もうひとつだしね。

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