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アラビアのロレンスを求めて

牟田口義郎
中公新書 780円
お勧め指数 □□□■■ (3)
購入店 ブックオフ

 アラビアのロレンスって、一体なんなのだろうか? 昔、映画をちらっとみたことがあるが、対して面白いとは思わなかった。しかし、その映画は評判が高く、生誕100年でなにやらイベントが開催されることもあるらしい。

 この本を購入したのは、サブタイトルに「アラブ・イスラエル紛争前夜をゆく」というものだったからで、中東問題の一エピソードのようなものを期待しからである。もちろん、著者の名を知っているし、たぶん内容におかしなところはないだろうということもあった。何れにせよ、ブックオフで100円だから、迷うくらいならば買ってしまう。

 で、結論だけど、アラビアのロレンスというのは、実在した人だけど、映画で描かれたような活動はしてない、ということらしい。つまり、アラブ側について闘ったというような事実はなく、あれはアメリカ人の何とかいう人がロレンスの話を手がかりに作ったおとぎ話なんだそうだ。それを大々的に持ち上げて生誕100周年なんてのをやっているところが、西洋人のというか普通の人の実におっちょこちょいなところだと思う。

 英雄って欲しいんですよね、だれしも。アラブ側について闘った金髪碧眼の若者ってきいただけでエキゾチックな感じがします。夢がかってに膨らんでしまう。それに、ヨーロッパ側を打ち負かしたような戦術はアラブ人にはできるはずはなく、背後にヨーロッパ人がいるはずだという気分もあったのだと思う。その2つがミックスされ、現実とはかけ離れた「ローレンス像」ができたということだ。実に分かりやすい結論で、歴史家ってのはたまにはそういうことも言わないといけない。

 アラビアのローレンス像は、当然日本の女学生にも人気があるそうで、この著者の大学の学生には、「卒論にはアラビアのローレンスにアタックしたい」という希望をもってやって来る人がいるのだということです。目的意識をもってやって来る学生というのは、本当にメッタにお会いできないので、そういう人がいる学校があると聞いてちょっとほっとした気分になりますが、と同時に、アラビアのローレンスを卒論のテーマにするって、一体どいう卒論なんだろうかという気分もしてきます。まったく、文科系おそるべし。


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