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街道をゆく

司馬遼太郎
朝日新聞社 各1100
お勧め指数 □□□□■ (4)
購入店 神保町の古本屋

 どれでも一冊100円と表示がある段ボールが道端にだしてあった。覗くとわりとよい本が入っていた。司馬遼太郎のものが何冊かあり、ぼくのお気に入りもあった。持っている本を買ってもしかたないなぁと思っていたところ、この本が目に付いた。ちょっと前に恩田陸のエッセイを読んだのだが、イギリス旅行中に読んだのはこの本だけだったということだ。そういう記憶が頭によぎった。ぱらぱらとめくれば、ロンドンやリバプールのことがそれなりに書いてある。これは買いだなと思って、店の人に2百円払った。神保町にも安い本は結構でているのだが、100円まで値段を下げたものにはあまりよい本はない。ブックオフじゃないから、そういう商売ではないのだ。このあたりの本屋さんも結構なりふりかまっていられなくなったのかな、などとと思った。

 エッセイだ。読んでいて心地よい。上手だというものをこえて、日本語を読む喜びというものを感じる。そういえばときたま「いい日本語が読みたいな」と思うことがあり、そういうときは結局司馬遼太郎を読んでいる。もはやストーリがどうのこうのいう問題ではない。好きな音楽は繰り返し聞いても楽しい。ぼくにとって良い日本語を読むのは、その感覚に近い。好きな絵を見るも音楽を聴くのもエッセイを読むのも、結局同じような快感を求めているのだろう。

 話をこのエッセイに戻す。イギリスには3ヶ月滞在した経験があり、週末必ずロンドンへ通っていた。だから街の風景や空気について、少しは知っている。そして、好きな街である。司馬遼太郎がどんな感じを持ったのか、その辺りを読むは面白い。へぇそうなんだ、という気分にもなるので楽しい。もちろん、バックボーンとなる知識があるから楽しめる話もあり、そういうものをぼくはこういう本を読んで知る。次にロンドンへ行った時楽しめるように。

 リバプールの話のところで、ビートルズに触れている。司馬遼太郎はビートルズについて日本で調べる段階で何をしたのかというと、文献をたくさん読んでいるだけで済ましている。音楽は聴かないということだ。音楽で世界に名をはせた人たちについて知るのに音楽を一切聞かないという方法もありえる、ということだ。そのなかでビートルズのメンバのメンタリティーついて語っている。彼らのあるインタビューだ。

 『ビートルズ』に、アメリカ公演したときの記者会見の一問一答が掲げられている。そのなかで、記者が、コドモのようなこの連中に愚弄されているのである。たとえば、記者が、「ベートーヴェンをどう思う?」ときく。ばかな質問である。  四人のなかのリンゴ・スターが答える。かれも、アイルランド系である。「いいね」と大きくうなづき「とくにかれの詩がね」。

 久々に大笑いしてしまった。なるほどビートルズについて音楽から攻めないと、こういう方法で彼らの人を知ることになるのか。なるほど。


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