思想の冒険家たち
旅人と思索の世界へ。だれけた格好で冷房のきいた部屋でソファーにねっ転がっているくせに、なんだかスゴイ思索をしている気分に、あるいは世界中を旅した記憶を思い出している気分になってしまった。ぼくの完璧な娯楽の一つである。これだけだらだらの生活をしているが、学ぼうというマインドだけは持っているのだと苦し紛れに自分に対して実証しているような気分がしなくはない。なんといわれようと、ぼくは勉強しているのだが。 この本も旅と文学と思索のセットである。対象は20世紀の人。取り上げられた人は文学者も哲学者も歴史家もいろいろいるけれど、著者が旅人セットで語るにふさわしい人を選択したものだろう。それぞれの章において、対象となる本、引用箇所、それにまつわる思索、その人にふさわしい旅先の記述がある。司馬遼太郎の街道が行くというようなものをずっと昔からやっていると思えば良い。しかも、世界規模で。 どこかへ行きたいなと思っていてもなかなかでかけられるものではない。金銭的な理由や社会的な理由がある。そんなときに腐っていても時間は過ぎてしまう。想像力を使えばいいのだ。今は写真なりビデオなりが無料で入手できる時代なのだがけど、人を動かすものは「物語」であろうと思う。 旅行記でつまらないのは、旅先を紹介するだけのもの。珍しい話があっても、おいしい食べ物を紹介されても、結局心にのこらない。旅行記ではあるものの、きっちり勉強した人が現場でいろいろ思索したことが、その土地ならではの人やり風景なりを交えた物語を語ってくれる。そういうものがぼくはすきなのだ。 この本も紹介される人たちの物語を語ってくれている。それは知識ではない。著者が自分の成長の糧になったような、本当に考えて学んだことを語ってくれている。だから、この本にあるのは情報とはいえない。森本哲郎から離して語っても意味がないことがこの本にあるのだと思う。 いいなぁ。もっと勉強して、できれば旅をしてみたい。人生の目標など大それたものをもう抱くことはないが、しっかりと考えていく道を歩いてきたいものである。 |