脳あるヒト心ある人
養老孟司さんはもう本を書かないだろうと思っていた。そんなことよりムシを見ていた方がいいだろうから。となると、今後期待できるのは過去の記事をまとめたものか、対談かである。bk1から新刊案内のメールが届いたときうれしかった。対談ならば相手が誰かも気になるところだ。今回は女性作家のようだ。名前は聞いた事があるが、その作品は読んだことはない。嫁さんにも聞いたのだが、読んだことはないが豊崎さんの評価は良かったそうだという話を聞き、少し安心した。 新聞のリレーエッセイをまとめていたようで、実に養老孟司調の文章である。自分の意見、それにたいする問い掛け、その応答。こういったものが地の文でつづく。養老調のエッセイはある種の気持ちよさすら感じる。ぼくもこういう調子でさっぱりとしたことが書けないものかと憧れている。 読んでいて驚いた。リレーエッセイのお相手も養老調のエッセイなのである。文章が養老と同じように、地の文をボヤキのようにつづけていく。この種の書きかたは、自分の思考の流れを写すことになるので、そもそも論理的に無理のない、つまりジャンプがない発想が続かないと何を言っているのかわからなくなる。この作家さんはさすがは上手である。ただし、話の内容そのものが女性のものである。もし、養老孟司さんが女性だったらこのリレーエッセイのような文章になるのではないか。 3年くらい続けれた往復書簡を読んだ。短いものが続いているが、一つ一つには「うま味」のある内容で、考えされられたり自分でも意見をいってみたくなっりするものが多い。実に得な気分になる。最近の新書ブームでは中身がない本が乱発されているが、たまにはこういう価値のある新書も読みたい。でないと、次から買う気分が失せるから。 自分でも同じテーマで考えをまとめてみようと思う。彼らと比較して自分の考えることも文章力もいかにないのかを知る良い機会であろう。ブログは素人でも参加できる。だったら、やってみて何の問題もないだろう。 読後(読んでいる最中)にヒトの行動を促すような本は、本として素晴らしい。この本はその意味で買って良かった。 |












