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お金とモノから解放されるイギリスの知恵

井形慶子
大和書房
お勧め指数 □□□□■ (4)
購入店 ブックオフ

 人々が歴史を経て勝ち得た知恵には一目置く必要がある。この本のタイトルを目にして、イギリス好みでもないぼくの手が動いた動機はそこにある。本だなから引っ張り出す行動は半ば無意識であった。
 「こうするとお得ですよ」という知識に必要ない。年収いくらいくらでも贅沢できるということにもない。チープなものを工夫して使うといったことは嫌いである。それは本音を騙しているから、だましは実践してもストレスがたまり侘びしい気分になるのが目に見えている。

 未来への不安は収入の安定性とつながっている。要するに、えさ場の確保は大丈夫かということだ。今あるものがなくなってしまうかもしれない。これが恐怖の源泉である。つまり、お金やモノが無くなってしまう恐怖。
 幸せになる方法には2通りある。一つは継続してお金やモノが増えていく日々を疑わない方法。もうひとつは、お金やモノに対しての別の見方を獲得する方法である。前者は自分のがんばりのみに依存するストレスフルな方法である。後者は簡単には獲得できないがよりローエネルギー・ローコスト・ロー欲望な生活を実現できる可能性がある。ある種の悟りに近いものだろう。ぼくは後者を探している。

 イギリスは世界の頂点にいた時代があった。文化的な面でいえば、頂点の座から追われたとはいえ、今でも世界一流の面がある。人々には賢い人がたくさんいる。
 彼らは彼らなりに歴史から学んだ事がある。1000年スケールでの蓄積は、教科書にのらないある種の価値観を形成しているはずである。それは何か。そこに興味をもっている。

 (親との子との人間関係があいまいなまま成長していく)多くの日本の子どもたちは大人になっても親に要求することを止められない。その背景には買い与えてもらうことを当然と思わせてきた安易な親の接し方も原因になっている。それが再び物への執着を生み、次世代に受け継がれてゆく悪循環を作り出しているのだ。
 「日本人の限りない物欲は実は家庭の中から発生している。幼少体験に基づいたこんな習慣は簡単には切り替えられないわ」
 新宿のデパートでおもちゃをつかんで泣きわめく子どもを見ながらイギリス人の主婦がつぶやいた一言は忘れられない。(P212)

 欲望をコントロールすること。これができれば人は相当幸せになれるのだと実はとうの昔に解明されている。少なくとも、仏教はそうだし、それを目指したのが仏教である。
 とはいえ、現代に生きる自分は、だからといって出家することはしないし、その必要もない。
 原因は既知であるが、それをどうすればいいのか。「これこれこうしなさい」と他人から教われることなのだろうか。

 イギリス人は一端上昇しすぎた生活レベルを、満足度を保ちながらいかにして下げることに成功したのだろうか。その工夫は歴史の検証をへたものである。とくに、市民生活に根付いた工夫は、日本人のぼくでもいろいろ参考になるだろう。この本を読んでその一端を垣間見ることができた。
 これからの日本で生きていくには、なるべく幸せに生きていくためには、先輩の工夫を大いに吸収するほうがよいだろうと思っている。

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