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夜のピクニック

恩田陸
新潮文庫
お勧め指数 □□□□□ (5)
購入店 成田空港三省堂

 読むのは二回目である。前回読んだときは、恩田陸の初めての本としてだった。歩きながらの思索。しかも、青春モノで嫌なところが全く無い。ビックリしたことを覚えている。
 今回は成田からヒースローマまでの機中で一気読みをした。

 ヨーロッパ便はロシア領へ入った直後ぐらいまでは快適である。エコノミーでも疲れていないし、旅のワクワク感もあるし、目も疲れていない。いつもは塩野七生作品と決めているのだが、今回は空港で購入した夜ピクの文庫本である。

 夜通し歩くという学校の行事を舞台にした青春モノ。何があるというわけでもなく、只歩くだけ。歩きながらの会話と思索、反省。これで文庫本400ページ強の作品ができ、しかも一気読みさせられる面白さがある。

 青春モノだから映画の素材にしたくなる。それはわかる。しかし、この本の面白さは、主人公があれこれ思索するとこころにある。あれこれ反省するところにある。こんなもの、どうやって映画にするのだ。出来た映画を観てみたが、すこし視点が違うものになっていた。だからといってつまらないことはなかったが。


 映画を観た影響で、今回読んだときにイメージされる主人公甲田貴子は多部美佳子になる。内容は自分で本を読んだ方が濃いのだから、映画よりも楽しく過ごせるわけである。映画を見る前と見た後では、見た後の方が楽しいかもしれない。
 
 人が考えることをここまで物語にすることができるのかと感心する。恩田陸の言語能力にはただただ感心する。貴子が考えている内容は、本来ならば「言語」を使っていないでなされているものである。ある場面のイメージか、痛みや悲しみといった心情的な感覚である。それを適切に言葉に置換えてある。読んだ人はその感覚を想像する。全てではないないにしろ、ある程度まではぼくにすらわかる。新聞を読んでもコトバの力など信じる気にならないが、これを読むと言葉の力を信じてしまう。

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