著者は一昔前に、「Reboot」という本を出版していたはずである。今度の本も「再起動」と日本語を使っているが、Rebootということで、前作とどの程度内容がちがうのだろうか。まぁ、でも同じようなものかなと疑問に思いながらも手に取った。なぜなら大前研一の本は買って損はないから。読んでおいたほうが身のためだろう。
この本は普通のサラリーマン向けに書かれている。考え込むような論文拡張の話が書かれているのではなく、「大前研一ライブ」のダイジェストのようなものである。普通のニュース番組ではあまり話題にならないが、世界ではこんな企業がある、こんな技術を使った活動がある、というマスコミに取り上げられていない一歩先の情報である。読んで楽しい。
テーマはこれまでと同様「見えない大陸」での社会ではどんなことが起きているのか。この先の予測、その予測から導かれる萌芽のような会社の紹介である。
書店に並んでいるこの手の本はだいたい2タイプある。アメリカ礼賛か、あるいは煽りか。しかし、この本はどちらでもない。ITという技術はマスコミで紹介されている以上に浸透しており、それがもとで社会のあり方、国のあり方、会社の利益の出しかたが変わってきている。それを実況中継するがごとく、いち早く「新しい企業」という視点から紹介されている。ZARAの話などはすでに数年前の大前研一ライブで放送していたので、必ずしも最新ということではないが、そこは大前研一の視点からZARAを可能にしている技術や今後の見通し、関連事業のヒントなどがさらりと説かれている。専門家ぶっている他の多くの評論家の本よりは、ちゃんとしている感がある。
この本は、単に情報を提供することが目的でもないようである。言いたい事の一つとして、はサラリーマンサバイバルがある。このままだと「食えない」状態に陥ってしまうよ、なんとかしたほうがいいよ、という警告である。一昔前に同タイトルの本があったので、主張したことは変わっていないのだろう。
今後は、普通にサラリーマンやってる、という状態があり得なくなってしまうという。というのは、いま普通のサラリーマンがこなしている仕事はITの更なる利用、国境越えの仕事の再配分などとをしていくうちに消えてなくなってしまうから。
また、そもそも日本の現在を作ってきた産業が日本を支える事ができなくなるだろうという理由もある。いずれにせよ、大幅にやる事を変えないと職がなくなる人が大勢でるだろうという見通しが前提になっている。
確かにそうなんだろう。だからといって、今の自分に出来ない事を身に付けるには地道な勉強と訓練しかなく、劇的には生活は変わらないだろう。生き残れないという気もするし、それはそれで仕方ない。人生成功したって死ぬんだから。
こういう本を読むと、勉強しなきゃという気分と同時に、人生ってなんなのだろうかと考え込んでしまう。その答えをきちっと定義できれば、負け組だろうがサバイバルできないだろうか、対して問題ないような気がする。