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異次元の刻印

グラハム・ハンコック
バジリコ
お勧め指数 ----- (-)
購入店 八重洲ブックセンター

 ハンコックの新作だし、精神や宗教の起源を探究する本だということで購入してみた。ハンコックの本は書店ならばトンデモ本と同じような位置に置かれている。だから、この本もトンデモ本として認識されているのかと思っていたが、大手書店でも結構平積みされていたりして、扱いはトンデモ本ではないみたい。ちょっとうれしく思った。ハンコックの古代文明探究は、ぼくはオーソドックスな学問が欠落している発想を補ってくれるものだと考えるので、この本もそういうものであることを期待した。
 が、上巻を読んだ段階では、いやこれは「やり過ぎ」の感があり、トンデモ本の領域にぐっと近づいてしまったのではないかという感想をもった。ただ、一冊全部に違和感を感じることではない。中盤までは非常に面白いし、学ぶことも多い。ぼくは自分では理系の勉強を積んだと思っており、そのぼくの視点からみても本書の前半まではこの探究方法はありだと思っている。しかし、後半はどうやらまずい気がする。ウソだとかペテンだという意味ではない。そう主張するつもりもない。ただ、余りにも「ある種の仮説」に突っ走ってしまっており、しかもその仮説を「仮説だ」とわかって進んでいくのではく、もう信じて進んでしまっている感がある。悪いことに、その仮説は「どうにも証明できない」たぐいのものである。
 ポパーだったかが、反証できない仮説は科学で扱えないと言っていたと思う。これまでのハンコックの説は反証可能性があった。この本の前半部分の説は十分に反証可能性をもっている。ある種の脳内物質によるトランス状態での意識のありかた、それに絡めたアブダクション現象や日本で言えば金縛りのような現象を結びつけるのは、仮説としてはありだろう。
 しかしどうだろう、この本のスピリチュアルなところの扱いは反証可能性がないように思える。後半以後の展開はトンデモ系すれすれである。では、下巻は全部そうなってしまうのだろうか。とすると、新刊で下巻を買うのは忍びない気がする。しかし、新たな展開がないとも限らない。となると古本で見かけたら購入するというのが妥当な線であろう。ハンコックの本はそこそこ人気があるので、ブックオフに登場するのも時間の問題であろう。そこで購入し、下巻を読んでからこのシリーズの評価を考えたい。

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