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ハンダの達人

福多利夫
翔泳社
お勧め指数 □□□□□ (5)
購入店 三省堂本店

 ぼくのハンダ付けの経験は浅い。まだ3年くらいである。仕事上必要になったので、学生さんやその道の資格を持つ人から少し教わった。あとは数をこなしつつ工夫しながら経験値をあげている。決して満足できる技ではないが、それでも人類の9割の人よりは上手であろうと思っている。ハンダ付けの経験をしている人はほとんどいないだろうからそう宣言しているのだけど。
 この本は非常に面白い。単なる知識本ではない。最初から通読すると、著者の人格が見透けてくる感じがする。信頼できる人であろう。その理由は、本文中にでてくる「注意点」の取り上げ方にある。え、そんなことまで気づかってくれるのか、とか、普通そうだよねという点がきちんとくみ取られている。責任を取りたくないという守りの姿勢で書かれた本は、自己責任を徹底させるか、実際やりもしない煩雑や手順や過剰な禁止事項が多くかかれているものである。しかし、この本は「等身大」の人が注意することがかかれているし、おれもそうしているよ、ということが記載さている。だから、信頼できると判断している。
 ただし、専門家からみると心もとないかもれない。ちょっと雑に見えるところもあるかもしれない。それでも、アキバ少年ならば十分だし、研究装置を自作する研究者にも十分な内容である。少なくとも、ぼくは読んでいて「ふんふん」と思ったところが多く、「あぁ、そうやるのか。次からそうしよう」という箇所も何点もあった。もちろんそういうところは、経験上の知恵のようなものであり、先輩の行動をまじかで見る事ができる環境にいる人にとっては感動しないようなところであろう。ただし、ぼくのような先輩がいないところで技術を獲得せざるを得ない人にとっては、良きアドバイスをくれる先輩の経験ノートのような本としてこの本を読める。知っている部分も多く、見返すことはあまりないかもしれないが、作業部屋の本棚で手の届く場所に置いておくつもりである。

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