« 民主主義という不思議な仕組み | メイン | 生物が生物である理由 »

ひきこもりでセカイが開く時

爆笑問題+斉藤環
講談社
お勧め指数 □□□■■ (3)
購入店 八重洲ブックセンター

 年末だからということで(いや年末でなくてもなのだが)本屋に行っていろいろと物色した。最近新書はブックオフで買うことが多くなったせいで、ブックオフにない新書には目が届かなくなっている。新書でおもしろいのないかな、と思って選んだのがこの本。

 爆笑問題の太田は賢い人である。本人はそれを全面に出そうとはしてないが、才能はいろいろなところで発揮されている。もっとも、テレビはある種のファンタジーだから、マスコミに流布している太田像をそのまま受け入れていいのかはわからないけれど。そんな真実などぼくとは無関係な話だからどうでもいいのだけど、単に、こういう人がぼろを出すということはあるのか、あるとすればどんなところなのかという視点で太田の言動を読むのも楽しいだろうと思って読んだ。
 この本は番組を書籍化したもの。番組内容は専門家へのインタビューである。
 普通、インタビュー役は聞き役に徹して相手の話を引き出すことが仕事なのだが、太田は自分の興味や考えていること疑問などをそのままぶつけてしまっている。だから、インタビュー番組ではなく、ある種の対談番組になってしまう面白さがあった。
 前もってシナリオが決まっていないときの発言は、その人の思想が出てしまう。何を正しいと考えているのかが、発する質問やテーマの選定で分かってしまうのだ。だから、こういう場面で太田の才能が裏打ちされるかどうかが見えるはずである。

 そんな気分で読み進めたが、あっさりと読み終わってしまった。太田は凄い人だとぼくは思う。その理由は、会話の中で偶然で話題になる人名や作品名などのトリビア的知識量にではなく、彼の中でのそれらが体系をなしているから。そんなことが話を聞いているだけで伝わってくる。
 会話における連想的な話題の発展も、どうなるかは制御していない場当たり的なものではない。太田は、おおまかな方向を考えながら誘導しているようでもある。つまり、話を発展させながら、きちんと着地を見据えているのである。そんなところに、この人は凄い人だと感じる。

 とまぁ、太田だけ持ち上げるとコンビの田中をけなしているような雰囲気になるが、ぼくはそんなつもりはない。田中は常識人だし、その役割をきちんとおさえて発言というか「存在」しているから。そもそもからして、田中は太田が好きなのだろう。昔ッからの友人だしね。コンビの間に軽蔑があったら、その関係は周りの人に透けて見えてしまうだろう。なによりも、嫌な雰囲気が漏れでてしまうはずだ。それがないのだから、彼らはうまくバランスしている良い友達なのだろう。
 さて、主題の齋藤環という人の話であるが、正直ピンとこなかった。「なるほど」という発言がなくはない。そういう発言は、引きこもりの人との関係も人に興味があればこそ思いつくものであって、サラリーマン家業として仕事をしている人の匂いは一切しない。好きでやっている仕事なのだろうなと思う。

トラックバック

このエントリーのトラックバックURL:
http://www.significa.jp/scienza/BlogMgrMt/mt-tb.cgi/702

コメントを投稿

(いままで、ここでコメントしたことがないときは、コメントを表示する前にこのブログのオーナーの承認が必要になることがあります。承認されるまではコメントは表示されません。そのときはしばらく待ってください。)